2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年の104冊

岩合光昭『ねこ科』(クレヴィス)直木賞&本屋大賞候補作 大予想!猫組長『金融ダークサイド』(講談社)呉兢『貞観政要』(守屋洋訳,ちくま学芸文庫)大滝世津子『幼児の性自認 幼稚園児はどうやって性別に出会うのか』(みらい)坂井孝一『承久の乱』(…

綿矢りさ『私をくいとめて』(朝日文庫)

祝! YOASOBI紅白出場決定!! ---さて。 綿矢りさ原作の映画「私をくいとめて」(主演:のん)の予告編が面白かった。監督・脚本は「勝手にふるえてろ」と同じく大九明子さんとのこと。当ブログでも紹介したが,「勝手にふるえてろ」はなかなか良い…

藤岡陽子『きのうのオレンジ』(新潮社)

913.6 食欲と性欲と睡眠欲とは人間の三大欲求だというが、とにかく、睡眠欲を満たすので精一杯の生活を続けていると、小説を読むという行為にまでなかなかエネルギーを回すことができない。部活の近畿大会のために奈良の五條に向かう電車に揺られながら、い…

モーパッサン『宝石/遺産』(太田浩一訳・光文社古典新訳文庫)

第164回直木賞の候補作が,以下のとおり発表されました! ・芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)・伊与原新『八月の銀の雪』(新潮社)・加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)・西條奈加『心(うら)淋し川』(集英社)・坂上泉『インビジ…

西浦博(聞き手 川端裕人)『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』(中央公論新社)

都市封鎖中の武漢のようすを書き綴った『武漢日記』は市民の目で見たコロナであるが、これはおそらく初の本格的な、コロナと戦っている側からのドキュメンタリーである。書かれているのは、彼が厚生労働省クラスター対策班で奮闘した1月から5月までの記録で…

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第23巻(ジャンプコミックス)

今年一年を振り返るに当たっては,やはりこの作品に触れないわけにはいかないだろう。吾峠呼世晴『鬼滅の刃』。 12月4日は最終巻の発売日だった。仕事を終えてすぐに書店に行き,購入。そこから今日までの約1週間の間,何度も何度も読み返した。 もう,…

相澤真一・髙橋かおり・坂本光太・輪湖里奈『音楽で生きる方法 高校生からの音大受験、留学、仕事と将来』(青弓社)

少し前のことになるが、「夢追い型進路指導」という概念が、教育社会学の世界で出てきたときには、まさに目から鱗が落ちるとはこのことか、と思ったものだ。一見「本人の夢を後押しする」という学校の進路指導が、実際にはほとんど実現できないような職業へ…

プーシキン『大尉の娘』(坂庭淳史訳・光文社古典新訳文庫)

フランス文学の次はロシア文学へ。少し前に『スペードのクイーン』を読んで面白かったので,またプーシキンを読むことに。今回は『大尉の娘』。 貴族の家に生まれた青年・グリニョーフは,辺境の要塞で大尉の娘・マリヤと出会う。二人は互いに惹かれあうが,…

柳瀬博一『国道16号線 「日本」を創った道』(新潮社)

書評サイトで熱量のすごいレビューを目にしてしまい、ついつい購入。国道16号線については『国道16号線スタディーズ』という社会学の視点からの本があるが、さらにそれを深くしたのが本書というところだろうか(著者いわく、ジャレド・ダイアモンドばりに大…

モーパッサン『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』(太田浩一訳・光文社古典新訳文庫)

フランス文学つながりで,モーパッサンを読むことに。今回は『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』。表題作を含めた中・短編集である。 モーパッサン。長編『女の一生』は読んだことがあるけれど,中・短編をまとめて読むのは初めてかもしれない。面白い話,悲しい話,…

ハル・グレガーセン『問いこそが答えだ!』(光文社)

ビブリオバトルが少しずつ学校にも広まってきていて、うちの学年でも今取り組んでおります。あれ、本の内容もさることながら、プレゼンテーション力の問題という気もするんですよね・・・。これについては追々。 さて、今週いちばんおもしろかったのは「Q=…

ヴォルテール『カンディード』(斉藤悦則訳・光文社古典新訳文庫)

『哲学書簡』『寛容論』と読んできたので,次はいよいよこちら。ヴォルテール『カンディード』。 ウェストファリアの純真な青年・カンディード。恩師の「すべては最善である」との教えを何ら疑うことなく生きてきたが・・・。 戦乱,大地震,盗賊,海賊・・…

三浦しをん『マナーはいらない 小説の書きかた講座』(集英社)

毎週木曜日の夜は「プレバト」を録画して、見ている。俳句をはじめ、水彩画、色絵筆画などに、芸能人が本気で取り組んで、先生が評価する、というものだ。そこには先生のお手本や添削があって、違いが一目瞭然となる。なるほど、一流とそうじゃないものとの…

宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)

池澤夏樹個人編集の日本文学全集のリストを眺めていて,ふと宮沢賢治が読みたくなった。ということで宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)。まあ,全集でなくても読めるので・・。 自筆稿や初出誌に立ち戻って本文を定め直し,校訂を最小限にとどめた…

桜井俊彰『長州ファイブ サムライたちの倫敦』(集英社新書)

文久3(1863)年5月、横浜から5人の若き長州藩士が上海に密航した。目的地は彼らが半年前に公使館を焼き討ちしたイギリスである。(のちの)井上馨、伊藤博文、山尾庸三、遠藤謹助、井上勝の5人は、たった300トンの貨物船に揺られて帝都ロンドンにたどりつく…

池澤夏樹=個人編集 日本文学全集13『樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外』(河出書房新社)

久々の池澤夏樹個人編集・日本文学全集。今回は『樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外』。 樋口一葉は「たけくらべ」,夏目漱石は「三四郎」,森鴎外は「青年」を収録。どれも一度は読んだことがあるが(おそらくまだ自宅に本もある),「たけくらべ」が…

鹿島平和研究所・PHP総研編『日本の新時代ビジョン 「せめぎあいの時代」を生き抜く楕円形社会へ』(PHP新書)

帯に「「変われない日本」をいかに変えるのか?」とあって、その下になかなかおもしろそうな顔ぶれが並んでいたので、購入。基本的に雑誌「Voice」に連載された対話記事を加筆修正したものなので、バスの中で読むにはちょうどいい(目次では3部構成になって…

再び,コミック5選

好評(!?)につき,コミック5選・第2弾!最近読んだ中から5つの作品をピックアップ! ・遠藤達哉「SPY×FAMILY」第5巻(ジャンプコミックス) のっけから超メジャー作で申し訳ないが,でも面白くて仕方がないので紹介します。 東西冷戦時代。…

高橋誠『かけ算には順序があるのか』(岩波書店)

事実は小説よりも奇なり。なんだかいろんな意味で、最近ちょっと小説が喉を通らない。 本書は、算数教育史家の著者が、かけ算の順序をめぐる論争を「算数教育」と「数学」との往復の中で過去にさかのぼって整理したもので(第1章)、そこから「九九」の歴史…

河野裕『昨日星を探した言い訳』(角川書店)

前から少し気になっていた本。最後は表紙デザインに惹かれて購入。河野裕『昨日星を探した言い訳』。 全寮制の中高一貫校・制道院学園。坂口孝文は,中等部2年で転入してきた茅森良子と図書委員を務めることになった。茅森は,「平等な社会」を創ることを目…

播田安弘『日本史サイエンス』(講談社ブルーバックス)

「空想科学読本」とか、科学の力でいろんなものを解き明かしてみようという試みは、楽しいものである。本書は、 造船技師の著者が、蒙古襲来・秀吉の中国大返し・戦艦大和の3つについて、造船あるいは物流という観点から、「謎」を解き明かすものである。 個…

上橋菜穂子『精霊の守り人』(新潮文庫)

今年の「新潮文庫の100冊」を眺めながら,どの本を読もうか考えていた。メジャー作品で,面白そうで,でもまだ読んだことがない本・・・。ということで,上橋菜穂子『精霊の守り人』。 女用心棒・バルサ。新ヨゴ皇国の皇子・チャグムを偶然助けたことをき…

村上世彰『村上世彰、高校生に投資を教える』(角川書店)

N高校という広域通信制高校がある。角川ドワンゴが経営・運営していて、かなり勢いのある高校である。中学のとき私が担任した生徒も高校からお世話になった。 そこに「投資部」というのがあることは聞いていた。特別顧問は村上世彰氏なんだそうだ。村上氏は…

星野舞夜ほか『夜に駆ける-YOASOBI小説集』(双葉社)

YOASOBIが好きで,もう毎日毎日,繰り返し聞いている。・・いや,まあ最近聞き始めたにわかファンなんだけれど。 ということで,当然のようにこちらも購入。『夜に駆ける-YOASOBI小説集』。 YOASOBIは,「小説を音楽にするユニット」である。『夜に駆ける-…

半藤一利・加藤陽子『昭和史裁判』(文春文庫)

日本近代史が専門の東大の加藤先生が、「歴史探偵」半藤さんと、5人の昭和史の重要人物について、徹底的に検証するという企画。半藤氏が検察官役となり、加藤氏が弁護人役となって、対談が展開されていく。 歴史裁判にかけられるのは、廣田弘毅、近衛文麿、…

町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)

その声は,誰かに届くのだろうか。町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』。 九州の片田舎に引っ越してきた女性・三島貴湖。ある日,虐待が疑われる中学生くらいの子供と出会う。子供は言葉を発することができない。そしてまた貴湖自身も,凄惨な過去を抱えて…

橋爪大三郎『パワースピーチ入門』(角川新書)

「なぜ安倍首相の会見スピーチは、心に響かなかったのか?」 コロナ禍の混乱にあって、私達はリーダーが発信するメッセージを待っていた。ドイツのメルケル、NYのクオモ、それに比べて、なんと日本のリーダーの言葉が貧しかったことか(安倍首相の言葉が響か…

筒井康隆『残像に口紅を』(中公文庫)

『筒井康隆、自作を語る』を読んだ後,久々に筒井康隆の作品を読みたくなった。というわけで,『残像に口紅を』。 ことばを使った,実験的小説である。 日本語表記の「音(おん)」が,一つ一つ消える。それとともに,その「音(おん)」を使ったことばも,…

油井大三郎『避けられた戦争 1920年代・日本の選択』(ちくま新書)

1920年代には国際協調路線をとって世界平和をリードする大国のひとつであった日本は、1930年代には満州事変を引き起こし、九か国条約や不戦条約に最初に違反した不名誉を与えられ、日中戦争を経て1940年代には日米戦争へと自滅の道に突入していく。それはな…

辻堂ゆめ『あの日の交換日記』(中央公論新社)

交換日記をテーマにした,珠玉の7編。辻堂ゆめ『あの日の交換日記』。 つばめが丘総合病院に入院中の小学4年生・愛美(まなみ)。病室に訪問してくれる先生との間で,交換日記を始めてみた・・・(第1話「入院患者と見舞客」)。 どの話もいとおしい。し…