2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

奥乃桜子『それってパクリじゃないですか?~新米知的財産部員のお仕事~』(集英社オレンジ文庫)

特許権,商標権,著作権,意匠権・・・。そんな知的財産のお話が,ついにライト文芸に! 奥乃桜子『それってパクリじゃないですか?~新米知的財産部員のお仕事~』。 中堅メーカーに勤める藤崎亜季は,設立されたばかりの知的財産部に異動となったものの,…

遠藤周作『おバカさん』(小学館 P+D BOOKS)

長崎・外海の遠藤周作文学館で、企画展「〝愛〟とは棄てないことーー遠藤周作〝愛〟のメッセージ」が開かれている(2018年7月~2020年6月)。 第1部では、遠藤作品の4人の登場人物を通じて、遠藤のメッセージを読み解いている。第2部では家族の愛をテーマに、…

吉野作造『憲政の本義、その有終の美』(山田博雄訳,光文社古典新訳文庫)

「民本主義」を唱道した政治学者・吉野作造。その代表作である「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」が,この度,現代語訳になった。題して『憲政の本義、その有終の美』(山田博雄訳)。 1916年(大正5年)の作品である。しかし,ここで説…

ジョー・オダネル『トランクの中の日本』(小学館)

ローマ教皇フランシスコが来日された。明日、長崎・広島と被爆地を回り、核廃絶と平和を求めるメッセージを世界に向けて発信されることだろう。 教皇は一昨年の末、「焼き場に立つ少年」の写真に「戦争がもたらすもの」というメッセージを添えて、配布された…

川越宗一『熱源』(文藝春秋)

新人離れした新人の,2作目にして超大作である。川越宗一『熱源』。 樺太生まれのアイヌ,ヤヨマネクフ。リトアニア生まれのポーランド人,ブロニスワフ・ピウスツキ。実在の人物であるこの2人を軸に,アイヌとは何か,そして文明とは何かを描いた骨太の歴…

SONO『教派擬人化マンガ ピューりたん』(キリスト新聞社)

聖エクシリア学園の中等部に入学したピューリたん、兄は改革派。カトリックくん(なぜカトリッくんじゃないのだろう?)や正教会くん、聖公会くんたちと、楽しく学園生活を過ごしています。 ピューリたんカードゲームがついています。教派の違いを乗り越えて…

映画『蜜蜂と遠雷』(監督・石川慶)

原作は既にせんせいが紹介済みなので,映画版の方を。 原作を読んだのは,発売間もない頃だったと思う。分厚い本だったので,まあ4,5日から1週間くらいは持つかな,なんて考えていたら・・・面白くて深夜まで一気読み。おかげで翌日はものすごく眠かった…

おおたとしまさ『新・男子校という選択』(日経プレミアシリーズ)

日本中の5000の高校の中で、男子校は100校しかない。その男子校の「よさ」について、いろんな男子校(首都圏メイン)を回って考察したものをまとめたのが本書。著者自身も麻布の出身だそうで、 名門校シリーズとか学校の取材を重ねて著作も多いので、その豊…

砥上裕將『線は、僕を描く』(講談社)

新人離れした新人のデビュー作である。砥上裕將『線は、僕を描く』。 不慮の事故で両親を亡くし,「ガラスの内側」の景色しか見えない日々を送っていた「僕」。ある日,偶然にも水墨画の巨匠・篠田湖山と出会い・・・。 水墨画の世界をテーマに描いた力作で…

宇佐美まこと『展望塔のラプンツェル』(光文社)

神奈川県多摩川市。海岸沿いの工業地帯は、日雇い労働者とヤクザとコリアンとフィリピーナと、行き場のない子どもたちが暮らす、暴力が支配する街である。市の北部は瀟洒な住宅街で、そこの住人たちはこのことを知らない、あるいは見ようとしない。 2組の「…