2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年の114冊(通算563~676)

勅使川原真衣『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)『正訳 紫式部日記』(中野幸一訳・勉誠出版)山本文緒『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』(新潮社)福間良明『司馬遼太郎の時代』(中公新書)アルテイシア『59番目のプロポーズ キャリ…

角田光代訳『源氏物語 下』(河出書房新社)

先生ご指摘のとおり、今年の大トリは角田光代訳『源氏物語 下』。光源氏亡き後の物語。 「匂宮」「紅梅」「竹河」のいわゆる匂宮三帖を経た後(いずれも断片的な話)、いよいよ最後の山である宇治十帖に突入する。 この宇治十帖、角田光代訳で約500頁もあ…

本郷和人『「将軍」の日本史』(中公新書ラクレ)

大先生による大トリは、きっとあの日本文学史上最高傑作がくるだろうと思っていて、もうそれが待ち遠しくてしかたないのですが、私の方は、大河「光る君へ」につなぐためにも、2年連続の将軍ものだったので、「将軍」で締めようかと。 といいつつも、大先生…

万城目 学『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)

角田光代訳『源氏物語』、全部読んだぞー! --- 源氏物語を読みふけっている間、直木賞候補作の発表があった。なんと万城目学さんが6回目の候補入り。9年ぶりとのこと。これは読まねば。 『八月の御所グラウンド』。2作の短中編からなる本である。 1作目…

『学習まんが日本の歴史 試験に役立つ!超重要人物101』(集英社)

「学習まんが日本の歴史」は、小学館・学研・集英社・角川がしのぎを削っており、それぞれに長所があって、なかなか選びづらい。各社の改訂が一巡して、学説も更新され、何よりも絵が劇画調になっていたりするので、さらに悩む。で結局、メルカリで売られて…

福澤諭吉『現代語訳 文明論之概略』(伊藤正雄訳・慶應慶応義塾大学出版会)

当ブログで紹介した宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』ですが、なんと雑誌「ダ・ヴィンチ」のBOOk OF THE YEARにおいて小説部門1位に輝きました!おめでとうございます!デビュー作で1位・・・。 ---ずっと角田光代訳『源氏物語』を読み続けているため、…

有賀健『京都 未完の産業都市のゆくえ』(新潮選書)

ゴジラ-1.0、観ました。圧倒的によかったです!! 1954年のゴジラでは観客にとって当たり前だった「あの戦争体験」を強調して描いたのは、時代の要請として正解だったと思う。神木浜辺ペアも朝ドラに続いて(撮影はこちらの方が早かったらしいけど)安定の演…

佐野大介『孟子』(角川ソフィア文庫)

当ブログで紹介した前田雅之『古典と日本人』に、四書(論語・大学・中庸・孟子)のうち読み残していた「孟子」をようやく読み終えたとする明治初期の一庶民の記録が紹介されている(248頁)。 僕も「論語」「大学」「中庸」までは訳注付きで読んでいたし…

眞邊明人『もしも彼女が関ヶ原を戦ったら』(サンマーク出版)

前作「もしも徳川家康が総理大臣になったら」はコミカライズもされて映画化までされるそうだが、その続編。前回はコロナの難局を乗り切るためにAIで偉人たちを召喚して内閣を組織した話だが、今回は逆に、メタバースを使ってゲーム企業の「彼女」(みやび…

角田光代訳『源氏物語 中』(河出書房新社)

角田光代訳の源氏物語の中巻である。 まずは「玉鬘」から「真木柱」までの、いわゆる玉鬘十帖。夕顔と頭中将との間の娘・玉鬘を中心とした、外伝的要素のある物語である。ここでは光源氏は、親切だけどちょっと面倒くさいおじさんのようである。最後はやや意…

ダニエル・ソカッチ『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』(NHK出版)

2023年は、1973年の第4次中東戦争とオイルショックから50年、歴史的な「オスロ合意」から30年という節目の年である。その10月、50年前と同じ「贖罪の日」にガザからハマスがイスラエルに侵入し、戦火の口火が切られて、今もイスラエル軍の侵攻は続いている。…