2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)

こちら、通常国会末の7月20日に行われた、枝野立憲民主党代表による2時間43分のフィリバスター演説(内閣不信任決議案提出の趣旨説明なんだから、フィリバスター=議事妨害だったのかどうかはさておき。)を、ほぼそのまま書き起こして出版されたもの。数枚…

垣根涼介『信長の原理』(角川書店)

先に書きますね~。 --- 垣根涼介の新刊が出た。『光秀の定理』以来の戦国作品,そして初めての「信長」作品である。『信長の原理』。 「何故おれは,裏切られ続けて死にゆくのか。」--織田信長の生涯を軸に,その家臣団らの恭順と離反,裏切り,そしてこ…

聖徳太子『法華義疏(抄)・十七条憲法』(瀧藤尊教ほか訳,中公クラシックス)

『もういちど読む山川倫理』に,「十七条憲法」の興味深い解説があった。第一条の「和」の精神とは,ただ周囲に同調せよという意味ではなく,「みんなが集まってさまざまな意見を述べ合う中から,物事の正しい道理を見い出そうとすること」を指すというので…

黒木亮『島のエアライン(上・下)』(毎日新聞出版)

伊丹空港から熊本を経由して天草空港まで、イルカ姿のプロペラ機が飛んでいる。天草エアラインである。 島民の悲願であった天草空港の開港と、そこに乗り入れる航空会社の確保、それができないならばと自分たちで航空会社を立ち上げ、経営危機を乗り越えてい…

塩田武士『歪んだ波紋』(講談社)

「誤報」をテーマにした連作短編集である。塩田武士『歪んだ波紋』。 5つの短編が収められている。主人公はいずれも現役の新聞記者,あるいは元記者。それぞれの立場から,「誤報」に,そしてその背後にある「悪意」に気づかされる・・・。 記者としての事…

湊かなえ『ブロードキャスト』(KADOKAWA)

へえ、放送部。西加奈子か、佐藤多佳子か、・・・え、湊かなえですか? 思えば10年前の『告白』は衝撃だった。そのイメージがずっと自分の中に付きまとっているので、表紙のデザインも含めてちょっと意外な感じがした。 舞台は高校放送部。ケガで陸上を断念…

中山元『アレント入門』(ちくま新書)/仲正昌樹『悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える』(NHK出版新書)

ハンナ・アーレント。今ちょっとしたブームである。トランプ政権の誕生後,全米でその著作が再び売れ出した。日本でも昨年,『全体主義の起原』と『エルサレムのアイヒマン』の新版が出版された。このうち『全体主義の起原』はNHKの「100分de名著」で…

「ホーム」をめぐる7つのショートストーリー(ビッグイシュー日本版)

今号のビッグイシューは、15周年を記念して、「ホーム」をめぐる7編の短編集が巻頭特集になっていた。 曰く、“ホーム”には、家、家族、故郷、故国、住処、居場所、隠れ場所、収容施設、乗降場、発祥地、本場、本拠地、陣地……など無数ともいえる意味があり…