2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘッセ『シッダールタ』(高橋健二訳・新潮文庫)

ブルボン小林『あの人が好きって言うから…有名人の愛読書50冊読んでみた』(中央公論新社)が面白い。有名人(主として芸能人)の愛読書を読んで紹介するという本なのだけれど,これが書評としても,また芸能人評としても読んでいて楽しい(なぜか滝クリの…

半藤一利+保阪正康『昭和の名将と愚将』(文春新書)

グテーレス国連事務総長が「世界はコロナは戦争状態だ」と訴えたそうだ。 きっと、第2次世界大戦を、イギリスはこんな感じで、アメリカはこんな感じで戦ったんだろうなあ、と思わせる。そして日本もこんな感じで戦争して、(だから)負けたのだろう。 昭和史…

一ノ瀬俊也『軍隊マニュアルで読む日本近現代史 日本人はこうして戦場へ行った』(朝日文庫)

「入営の挨拶,出征兵士への激励の演説,戦地への手紙,そして『遺書』の書き方まで――日本人は『マニュアル』で戦争を学んだ。」 明治から太平洋戦争期までの間,軍隊での生活や,手紙文例集,式辞・挨拶集などの様々な「マニュアル」が一般の書店で市販され…

井上荒野『百合中毒』(集英社)

八ヶ岳山麓の、高原の園芸店。 母、姉、妹。それぞれの恋人、夫、不倫相手。父は25年前、家族を捨てて出て行った。 なんとか保たれていた危うい均衡が、父の突然の出現を機に、あちこちで壊れてゆく。父を捨てた女も、妹の不倫相手の家族も、また。 ずっと…

戸田慧『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』(集英社新書)

昨年,白井カイウ原作・出水ぽすか作画「約束のネバーランド」が完結した。コミックス全20巻。週刊少年ジャンプに連載された漫画としては,いろいろな意味で異色の作品であった。 その『約束のネバーランド』を英米文学者が専門の立場から読み解いた本が,…

三浦しをん『エレジーは流れない』(双葉社)

「あのこは貴族」の映画を観てきました。後半かなり原作と変わっていて、好みが分かれるだろうなぁ。どちらの世界観もいいと思う。 さて。 ここは餅湯温泉。海と山に挟まれ、遠く富士山を望む、新幹線こだま号の停車駅。山側の元湯温泉とはライバル関係にあ…

浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで』(角川文庫)

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』が予想以上に面白かったので,著者の他の作品をと思い,読んだのがこちら。『教室が、ひとりになるまで』。 高校で3名の生徒が立て続けに死亡。垣内友弘は,同級生の白瀬美月から,3名は「死神」に殺されたと告げられる。…

真山仁『ロッキード』(文藝春秋)

週刊東洋経済のGW合併特大号。1冊まるまる書評で、あれもほしくてこれも読みたくて、ああ・・・。 さて、 ようやく読みましたよ、ロッキード。 ベストセラー作家の真山仁氏が、満を持してノンフィクションを上程。それも戦後最大の謎のひとつ、ロッキード…

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(角川書店)

ここ数か月で読んだエンタメ小説の中で,最も面白かった作品といっても過言ではない。浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』。 IT企業「スピラリンクス」の新卒採用。最後まで残ったのは6人の大学生。最終選考のグループディスカッションで「事件」が起こる。…

山内マリコ『あのこは貴族』(集英社文庫)

華子は東京・松濤の令嬢である。何不自由なく育ち、カトリック女子校を出て、同級生たちが次々と結婚していく中、婚活に焦っている(第1章「東京」)。美紀は富山から猛勉強で慶応に合格したが、実家からの支援がなくホステスをして学費を稼いでいたものの中…