「あのこは貴族」の映画を観てきました。後半かなり原作と変わっていて、好みが分かれるだろうなぁ。どちらの世界観もいいと思う。
さて。
ここは餅湯温泉。海と山に挟まれ、遠く富士山を望む、新幹線こだま号の停車駅。山側の元湯温泉とはライバル関係にあって、両方から生徒が通う高校でもロミオとジュリエットさながらの光景が繰り広げられる。
主人公の怜には「ふたりの母親」がいて、双方の家を交互に行き来して暮らしている。出生の秘密、進路選択、祭りの日、大捕物、など次々と騒動が巻き起こる中で、友人のリア充も野生児もインキャも、それぞれに悩みがあるようなないような高校生活を過ごしている。
ゆっくりとさびれてゆく温泉街を舞台とするからこそ、未来へと向かう若者たちのエネルギーが光り輝く。そこにはエレジー(哀歌)は流れない。
明るいデザインのブックカバーの下からは、かわいい「もち湯まんじゅう」のロゴが現れる。遊び心がうれしい。
最後に。
今週「おちょやん」が千穐楽を迎えた。大団円に向けて話が進んでいく中で、丁寧に磨き込まれたセリフひとつひとつの重みと輝きに、役者さんたちの気持ちが乗り移っていて、何度も涙があふれてきた。それと並行してこれを読んだものだから、登場人物の語る言葉のチョイスが、なんだかあまりにも軽すぎて・・・。
(こ)