2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ブリギッテ・シテーガ『世界が認めたニッポンの居眠り』(阪急コミュニケーションズ)

教育学系の研究会でアメリカの高校についての報告書を読んでいたとき、生徒が居眠りしている記述がないことが話題になった。そのときに参加者のひとりである文化人類学の先生から紹介されたのが、これ。著者はケンブリッジの日本研究の先生で、れっきとした…

綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫)

綾辻行人『十角館の殺人』がコミカライズされているという(漫画:清原紘/アフタヌーンKC)。早速,既刊の1,2巻を読んでみたところ,想像以上に面白かった。何より作画がすばらしい。1コマ1コマが極限まで練られた構図。美形ぞろいの登場人物に,今…

村上春樹『一人称単数』(文藝春秋)

「それで、もうよんだのかい?」 カウンターの隣に座った男が、声をかけてきた。 あぁ、と僕は少し気の抜けた調子で答えた。「『ヤクルト・スワローズ詩集』、だろ? あれはよかった。」 だいたい、僕には音楽の話がわからない。ビートルズはまだ知っている…

マックス・ウェーバー『世界宗教の経済倫理-比較宗教社会学の試み 序論・中間考察』(中山元訳,日経BPクラシックス)

野口雅弘『マックス・ウェーバー』に触発されて,読んでみようと思い立ったのがこちら。マックス・ウェーバー『世界宗教の経済倫理-比較宗教社会学の試み 序論・中間考察』。ウェーバーの宗教社会学の中から,「序論」と「中間考察」を抜き出したものである…

田崎健太『スポーツ・アイデンティティ どのスポーツを選ぶかで人生は決まる』(太田出版)

スポーツの競技種目と性格の関係というのはありそうな気がするし、うちのチビにはどんなスポーツが向いているのかなというのは興味があることなので、読んでみた。 著者はスポーツライターというよりはノンフィクションライターで、数多の取材対象の中にはア…

野口雅弘『マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家』(中公新書)

今年はマックス・ウェーバーの没後100年に当たるということで,中公新書と岩波新書から相次いで評伝が出版された。こちらはそのうち中公新書版。野口雅弘『マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家』。 56年の生涯をたどりながら,ウェーバーの思想…

森見登美彦(上田誠原案)『四畳半タイムマシンブルース』(角川書店)

8月12日、灼熱の京都。下鴨幽水荘の四畳半で、エアコンのリモコンが壊れてしまった。そこへ未来からタイムマシンがやってきたので、ヘタレ京大生たちは、壊れる前のリモコンと、ついでに銭湯で消えたヴィダルサスーンを取りに、昨日へと向かう・・・。 上…

五十嵐律人『法廷遊戯』(講談社)

先週紹介した『イチケイのカラス』,公式Twitterによると,何と重版がかかったとのこと。おぉ~。 ---さて。 ロースクールを舞台にしたミステリである。五十嵐律人『法廷遊戯』。 法都大ロースクールに通う,3人の学生。やがて1人は弁護士になり,もう1人…

ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』(筑摩書房)

「ワイルドサイドをほっつき歩け(Still Wandering around the Wild Side)」という本を職場の机の上においていたら、バンドマンの英語の先生が「お、"Walk on the Wild Side"やね?」と声をかけてきてくれた。こちらはそちらの知識はからっきしなので「??…

コミック5選

こんな状況なので,軽く読めるコミックでも。最近読んだ中から5選。 ・施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』第5巻(REXコミックス) 本をテーマに,4人の高校生がとりとめもなく雑談する,ただそれだけの話。 これが,面白い。 ・・・のだが,刊行ペース…

大村はま『教えるということ』(ちくま学芸文庫)

大村はま、という「伝説の国語教師」が東京の中学校にいた。伝説といっても、金八先生とかGTOとかとは違って、とにかく授業の鬼なのだ。伝説の教師なだけに、教え子たちによる「大村はま国語教育の会」というのもある。その事務局長が苅谷夏子さん(苅谷…