2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「すずめの戸締まり」とツルゲーネフ『はつ恋』

(※ネタばれにならないよう配慮していますが、気にされる方は読み飛ばしてください。) 新海誠監督の作品には、本を読むヒロインがしばしば登場する。「雲のむこう、約束の場所」の佐由理は森下さなえ『夢網』(元ネタは大下さなえ『夢網』)を読み、「秒速…

小熊英二『基礎からわかる 論文の書き方』(講談社現代新書)

小熊英二氏は鈍器本何冊も書いたり自立新書出したり、とにかく膨大な一次資料にあたってそこから非常に大きな問いに対してじわじわと包囲網を狭めていき、そして最後に仕留めるスタイルをとる研究者である。その研究スタイルに刺激を受けたゼミ生の中から、…

凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)

映画『すずめの戸締まり』見てきました。すごかった。小説版を読んでいたが、想像をはるかに超える出来だった。ストーリー、演出、音楽から声優まで、どれをとっても最高の作品だった。・・・結局2回見た。 さて、こちらは凪良ゆうさんの新刊『汝、星のごと…

アレクサンドラ・グージョン(鳥取絹子訳)『ウクライナ現代史 独立後30年とロシア侵攻』(河出新書)

今朝目が覚めると、ポーランドにミサイルが落ちて民間人2人が死亡したというニュースが流れていた。場合によってはいよいよか・・・と思った。 今回はエスカレーションは避けられそうだが、いつ何が起きるかわからない。 『物語ウクライナの歴史』はウクライ…

新海誠原作・大場惑著『小説 ほしのこえ』(角川文庫)

新海誠監督が「すずめの戸締まり」の舞台挨拶で、次のとおり発言したという。 「『ほしのこえ』を作って『セカイ系』と呼ばれていたころは、自分が『すずめの戸締まり』のような作品を作るとは夢にも思いませんでした。」 「ほしのこえ」。新海誠監督の劇場…

モノガタリプロジェクト編『モノガタリは終わらない』(集英社)

「捨てない」をテーマにしたアンソロジー。 著者は超豪華メンバー21人。 伊坂幸太郎→三浦しをん→朝井リョウ→藤崎彩織→吉田修一→絲山秋子→角田光代→吉本ばなな→筒井康隆→川上未映子→岩井俊二→綿矢りさ→金原ひとみ→西川美和→尾崎世界観→平野啓一郎→江國香織→…

ドストエフスキー『罪と罰』(亀山郁夫訳・光文社古典新訳文庫)

今まで読んでいなかったことに引け目すら感じていたが、ようやく読むことができた。ドストエフスキー『罪と罰』。 ペテルブルグの粗末なアパートに住む青年・ラスコーリニコフ。「選ばれし者は、人を殺す権利を持つ」との自らの信念に基づき、金貸しの老女を…

ジェレミー・ブレーデン、ロジャー・グッドマン『日本の私立大学はなぜ生き残るのか-人口減少社会と同族経営:1992-2030』(中公選書)

OBの先生(数学)と話していて、この本読もうと思ってるんだけど・・・と言われたのが本書。感想聞かせて、と言われたので、去年買って斜め読みして積んであったのを読み返す。 著者は人類学の先生。グッドマン教授はオックスフォードの先生で、その指導生が…