小熊英二『基礎からわかる 論文の書き方』(講談社現代新書)

小熊英二氏は鈍器本何冊も書いたり自立新書出したり、とにかく膨大な一次資料にあたってそこから非常に大きな問いに対してじわじわと包囲網を狭めていき、そして最後に仕留めるスタイルをとる研究者である。その研究スタイルに刺激を受けたゼミ生の中から、優れた若手研究者が何人も出ているのもうなづける。

その小熊氏が出した「論文の書き方」の本は、よくある文章の書き方の指南書ではなく、「学問と何か」「研究とは何か」ということについて、480ページにわたって一歩ずつ積み上げている。

11の章はそれぞれに完結しており、その内容は、科学とは何かという大きな話から、パラグラフライティングについての解説、調査設計のノウハウ、研究計画の立て方、注のつけ方など、多岐にわたる。

もともと農学を学び、そこから出版社勤務を経て社会学の道に進んだ著者ならではの、いわゆる文理の垣根を越えた視点も貴重である。

類書は山のようにある。その中でも、本書は大学生以上であれば手元に置いて、頭の整理整頓のためにも定期的にパラパラと読み返したらよい本だと思う。

ちゃんと勉強しよ。

(こ)