2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(中央公論新社)

既に読み終えてから4,5日経つが,まだこの小説のインパクトから抜け出せないでいる。朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』。 北海道の病院で植物状態のまま眠り続ける「智也」と,これを見守る「雄介」。2人の間に横たわるのは,友情か,それとも…

大澤真幸『社会学史』(講談社現代新書)

新書のジャンルに「自立本」というのがあるんだそうで、自立するくらい分厚い新書本のことをいうらしい(そのまんま)。 本書も本文630ページの自立本。税別1,400円だから1ページ2円ちょっと。内容は、大澤真幸先生が、講談社の編集者さん相手に社会学史の講…

東野圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』(講談社文庫)

東野圭吾の『パラレルワールド・ラブストーリー』が,玉森裕太主演で映画化されるとのこと。 東野圭吾。一時期よく読んだなあ。そういえば昔,せんせいのウェブサイトに最初に投稿した書評は,確か東野圭吾の『秘密』だったか。 『パラレルワールド・ラブス…

吉田兼好作・佐藤春夫訳『現代語訳 徒然草』(河出文庫)

本棚からポトリと出てきたのが、15年前に買った『徒然草』(佐藤春夫訳)。 『徒然草』は高校生のときにも古文の授業の教材に出てきたし、その後もひととおり読んだつもりでいたものだが、兼好法師の「つぶやき」の意味は、人生の後半になってこそ、味わいが…

ジョージ・オーウェル『一九八四年』(高橋和久訳,ハヤカワepi文庫)

映画『キングダム』見てきました!いや~,思っていた以上によかった!原作の再現度がすごい! ・・・っていうか,そもそも映画として面白い!!・・・続編,作るのかなぁ。 --- さて。 ゴールデンウィークにちょっと時間ができたので,たまには骨太の本でも…

青木理『安倍三代』(朝日文庫)

安倍晋三は、岸信介の孫である。 同時に彼は、政治家・安倍寛の孫でもある。その血は一粒種の晋太郎に受け継がれ、そして晋三へと連なっているはずである。しかし、晋三からは「安倍」カラーが見えない。 それはなぜか。 筆者は晋三のもう一方のルーツを求め…

橋本治『思いつきで世界は進む』(ちくま新書)

先ごろ亡くなった橋本治について,橋爪大三郎が熱烈な追悼文を寄せていた。 「さようなら橋本治さん」~ひとの死とは何か、を考える(橋爪 大三郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/2) そうか,このお二人,面識があったんだな。・・・などと思っていると,今…

遠藤周作『反逆(上・下)』(講談社文庫)

大先生、新天地での1ヶ月、おつかれさまでした! さて、遠藤周作は荒木村重をどう描いたのか。 主な登場人物はほぼ同じ。織田信長と、信長を裏切った松永久秀・荒木村重・明智光秀(そして実は羽柴秀吉もそのひとり)を軸に、賤ヶ岳の合戦に勝利して秀吉が天…