2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大川周明『米英東亜侵略史』(土曜社)

日本時間1941年12月8日、日本軍はハワイ真珠湾とマレー半島を奇襲し、対米英開戦に踏み切った。緒戦の大勝利に日本中は歓喜した。本書はその興奮の真っただ中、12月14日から12日間にわたって行われたラジオ放送の速記であり、「大東亜戦の深甚なる世界史的意…

大木 毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)

ちょっと話題になっている新書ということで,読んでみた。大木 毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』。 1941年6月22日,ドイツ軍がソヴィエト連邦に侵攻。以後,1945年まで続いた独ソ戦。戦闘のみならず,ジェノサイド,収奪,捕虜虐殺が展開され,戦闘員…

猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)

今年の8月のNスペも、ガダルカナル、戦争を煽るメディア、二・二六事件、昭和天皇「拝謁録」と、盛りだくさんであった。TBSでも綾瀬はるかが被爆者とシベリア抑留体験者に話を聞いていたし、年に一度、こういう時間があることは大事なことだと思う。 さて、…

道尾秀介『いけない』(文藝春秋)

真夏の暑い夜に,少しひんやりするダークなミステリを。道尾秀介『いけない』。 先週紹介した伊坂幸太郎の作品は小説とイラスト(コミック)とのコラボレーションであったが,こちらの作品は小説と写真のコラボレーション。4話からなる連作短編集で,それぞ…

赤川次郎・新井素子・石田衣良・荻原浩・恩田陸・原田マハ・村山由佳・山内マリコ『吾輩も猫である』(新潮文庫)

「文藝春秋」を買ってしまった。 「むらさきのスカートの女」を読むためだ。芥川賞は文藝春秋の宣伝のためにあるわけだから、まさに菊池寛先生の思う壺である。 社会学者・古市くんへの選評もネットで話題になっていたので、気になっていた。なるほど辛辣。…

伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(NHK出版)

書店で新刊が並んでいるのを見ただけで,読みたい,と思わせる作家がいる。ここ数年は伊坂幸太郎がそうである。 というわけで,新刊『クジラアタマの王様』。 製菓会社の広報部で働くサラリーマンの「僕」。人気タレント「小沢ヒジリ」のふとしたコメントで…

ヨーロッパ企画第39回公演「ギョエー!旧校舎の77不思議」(作・演出 上田誠)

読書じゃなくてごめんなさい。 今年も始まりました、ヨーロッパ企画全国ツアー。今日がツアー初日の京都公演でした。で、今年も生徒と一緒に行ってきた。 今年は「学校の怪談」。走り回る人体模型、トイレの花子さん、徘徊する日本兵、平家の落武者、人面瘡…

新海 誠『小説 天気の子』(角川文庫)

前作『君の名は。』は公開直後に見に行った。ものすごく感動した。感動して,パンフレットや関連書籍やCDを一通り買って,読み,聞き込んだ。 さて,その新海誠監督の新作『天気の子』。こちらも公開直後に見に行った。 ・・・随分,攻めたなあ。 『君の名…

Shinichi Aizawa, Mei Kagawa, Jeremy Rappleye (ed.), High School for All in East Asia: Comparing Experiences (Routledge Studies in Education and Society in Asia)

某雑誌からこの本の書評を依頼されて2400字にまとめなければならず、というわけで今週はこれにかかりっきりでした。 日本、韓国、台湾、中国、ベトナム、香港、シンガポールにおける「高校教育拡大」の比較研究で、欧米のケースをもとに理論化されてきた教育…