2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤雅彦編『教科書に載った小説』(ポプラ社)

江國香織の「デューク」がセンター試験で出題されたことがあったそうで、試験会場ではあちこちからすすり泣きが聞こえたらしい。 だから、教室を感動の渦に巻き込み涙で字が読めなくなっては困るので、控えめに、しかしそれでもしれっと10代の少年少女の心…

伊坂幸太郎『AX アックス』(角川書店)

同世代,というのは結構意識することがある。 同世代で最初に社会で活躍していたのは,子役だったかと思う。10代後半に入ると,アイドルや俳優,女優なんかが出てきた。やがて同世代のスポーツ選手も活躍しだした。 伊坂幸太郎は,同世代の作家。やはり,…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)

人は、同じものを見聞きしても、自分の理解したいようにしか理解できないものらしい。 = 平凡なサラリーマンの家庭に育ち、プロ音楽家の道をあきらめ、楽器店に勤めながら愛する妻子と暮らすフツーのお父さん、高島明石。これが最後と、芳ヶ江国際ピアノコ…

村山早紀「百貨の魔法」(ポプラ社)

大人だって,時にはおとぎ話を読みたいときだってあるよね・・・という時におすすめなのが,村山早紀「百貨の魔法」です。 地方都市にある,「閉店が近いのでは?」と噂される百貨店。そこで働く人たちにスポットライトを当てた連作短編集です。 ストーリー…

伊坂幸太郎『クリスマスを探偵と』(河出書房新社)

伊坂幸太郎が絵本を出しました。 とはいっても、子ども向けではない、大人向けの短編小説。 クリスマス・イブの夜。とあるドイツの街で、依頼を受けて男を尾行している探偵が、公園のベンチで若い男と出会う。そして・・・? コーヒーを淹れながら、手にとっ…

門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社)

「銀河鉄道の父」は,宮沢賢治の生涯を,その父・宮沢政次郎の視点から描いた作品です。 これがですね,おもしろい。とにかく,父・政次郎の宮沢賢治に対するまなざしが,暖かいんです。普通,小説では,父子関係っていうと,衝突とか,反発とか,その後の邂…

又吉直樹『第2図書係補佐』(幻冬舎よしもと文庫)

神様が目の前に現れて「どんな仕事でもやってもいいよ」と言われたら、コラムニストかエッセイストになりたい、と答えようかと思う。 天野祐吉「CM天気図」とか、中島らも「明るい悩み相談室」のような、あんなのを書きたい。懐が広くて奥行きが深くて、く…

池上永一「ヒストリア」(角川書店)

「誰か戦争を止めて」。本の帯に書かれた台詞が,この作品の大きなテーマとなっています。池上永一の「ヒストリア」。 沖縄に住む女性の「知花煉」は,太平洋戦争末期の沖縄戦で熾烈な爆撃に遭い,家族すべてを失います。戦後,煉は南米ボリビアに移住します…

サンテグジュペリ『星の王子さま』

きっと、本が少しでも好きな人なら、いちどは手にしたことがあることだろう。 子どもの頃、父は自分は本なんて読まないのに、子どもが読める名作らしき本をときどき買ってきて、本棚に並べて悦に入っていた。だからきっと、ぼくの「積ん読」は父のせいだ。 …

柚月裕子「盤上の向日葵」(中央公論新社)

重く,そしてひたすら暗い。「盤上の向日葵」はそんなミステリーです。 現場に唯一残された手がかりは,伝説の名駒のみ。そのような状況で,叩き上げ刑事・石破と、かつて将棋を志した若手刑事・佐野が捜査を進めていきます。そこで浮上したのが,実業界の寵…