2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

筒井康隆『残像に口紅を』(中公文庫)

『筒井康隆、自作を語る』を読んだ後,久々に筒井康隆の作品を読みたくなった。というわけで,『残像に口紅を』。 ことばを使った,実験的小説である。 日本語表記の「音(おん)」が,一つ一つ消える。それとともに,その「音(おん)」を使ったことばも,…

油井大三郎『避けられた戦争 1920年代・日本の選択』(ちくま新書)

1920年代には国際協調路線をとって世界平和をリードする大国のひとつであった日本は、1930年代には満州事変を引き起こし、九か国条約や不戦条約に最初に違反した不名誉を与えられ、日中戦争を経て1940年代には日米戦争へと自滅の道に突入していく。それはな…

辻堂ゆめ『あの日の交換日記』(中央公論新社)

交換日記をテーマにした,珠玉の7編。辻堂ゆめ『あの日の交換日記』。 つばめが丘総合病院に入院中の小学4年生・愛美(まなみ)。病室に訪問してくれる先生との間で,交換日記を始めてみた・・・(第1話「入院患者と見舞客」)。 どの話もいとおしい。し…

青山美智子『ただいま神様当番』(宝島社)

心も体もフラフラなので、こんなときには青山美智子さんでデトックス。 毎朝7時23分のバスを待つ5人(彼氏探しに疲れたOL、弟にうんざりしている小学生、リア充のふりをする高校生、Fラン大学の英語の非常勤講師、零細企業のワンマン社長)が、交代で、突然…

フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』(河野万里子訳・新潮文庫)

新潮文庫の累計発行部数トップ10は,次のとおりだという(『新潮文庫の100冊 2020』より)。 1 夏目漱石『こころ』2 太宰治『人間失格』3 ヘミングウェイ『老人と海』4 夏目漱石『坊っちゃん』5 カミュ『異邦人』6 武者小路実篤『友情』7 川…

村上春樹『東京奇譚集』(新潮文庫)

この表紙がほしくて、買いました。 東京奇譚集 (新潮文庫) 作者:春樹, 村上 発売日: 2007/11/28 メディア: 文庫 (こ)

筒井康隆『筒井康隆、自作を語る』(日下三蔵編・ハヤカワ文庫)

筒井康隆。昔はよく読んだ。その筒井康隆が半世紀を超える作家生活を自ら語り明かした本である。『筒井康隆、自作を語る』。 僕らの世代からすると,筒井康隆は最初から筒井康隆であった(当たり前だ)。でもそんな筒井康隆にも若い頃があって(これも当たり…