筒井康隆『筒井康隆、自作を語る』(日下三蔵編・ハヤカワ文庫)

筒井康隆。昔はよく読んだ。その筒井康隆が半世紀を超える作家生活を自ら語り明かした本である。『筒井康隆、自作を語る』。

僕らの世代からすると,筒井康隆は最初から筒井康隆であった(当たり前だ)。でもそんな筒井康隆にも若い頃があって(これも当たり前だ),その若い頃の話がまた面白い。

筒井康隆の作家生活は,特にその前半は,日本におけるSF小説の歩みともぴったり重なる。本書はSFの黎明期の雰囲気を伝える貴重なものでもある。

対談の相手を務める日下三蔵氏がまた博識である。適度に合いの手を入れつつ,筒井康隆のおぼろげな記憶をさらりと補完したりしている。

とにかく,楽しそうに話す筒井康隆。最後にはよく分からない歌(笑)まで歌っており,始終上機嫌。これからも,どうぞ長生きしてください。

筒井康隆、自作を語る (ハヤカワ文庫JA)

筒井康隆、自作を語る (ハヤカワ文庫JA)


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