2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

山本 圭『嫉妬論』(光文社新書)

複数のメディアの書評欄で紹介されていたため、興味を持って読んでみた。山本 圭『嫉妬論』。 嫉妬という情念を、政治思想の観点から多角的に考察した本である。政治思想の本は多々あるけれど、こういう切り口で論じたものはなかなかないように思う。 第1章…

羽田圭介『滅私』(新潮社)

ミニマミストだとか断捨離とかよく耳にするが、この小説の主人公は、そんなミニマミストたちである。持たない暮らしのインフルエンサーとして収入を得ていたり、(持たない暮らしという欲望を駆り立てて)ブランドを立ち上げてビジネスしていたり、持たない…

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)

発売前からちょっと気になっていた本。早速読んでみた。三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』。 いや、そりゃ、働いていると本を読む時間なんてなくなるでしょ――では終わらない。本書は近代日本の読書史と労働史からその「謎」に迫っていく。 …

早見和真『アルプス席の母』(小学館)

高校野球がテーマの小説というと、球児が中心と相場が決まっている。この小説でも、神奈川県のチームで全国制覇を成し遂げた中学生・航太郎が主役・・・ではあるのだが、もうひとりの主人公はその母・菜々子である。夫を事故で亡くし、息子は大阪の山藤学園…

『和泉式部日記』(近藤みゆき訳注・角川ソフィア文庫)

宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』が本屋大賞! おめでとうございます!膳所から世界へ! ---さて、再び平安の沼へ。今回は「和泉式部日記」を読むことにした。まずはお約束の「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズから川村裕子編『和泉式部日…

戸谷洋志『親ガチャの哲学』(新潮新書)

万城目さんに続いて宮島さん、百万遍文壇?絶好調ですね。そして中日弱いと言って、ごめんなさい。 前年度の余韻に浸る間もなく、クラス開き、授業始まりと、新年度が始まってしまいました。空き時間に読んだのが本書。「親ガチャ」についてルポだったり社会…

夏川草介『スピノザの診察室』(水鈴社)/小川哲『君が手にするはずだった黄金について』(新潮社)

朝ドラ「虎に翼」がとてつもなく面白い。 憲法14条の条文の朗読から始まったこのドラマ。戦前戦後の男女同権という重いテーマを扱いながらも、笑いあり・涙ありのとんでもないエンタメ作品に仕上がっている。特に昨日放送分のラストは感動した。NHKのド…

明智憲三郎『本能寺の変431年目の真実』(文芸社文庫)

春休み、家族旅行に出かけました。泊まったホテルには2000冊のミニ図書室があるというので覗いてみた。そこにあったのは、文芸社と草思社「だけ」が並べられた本棚でありました・・・。 ほとんどが自費出版のような本ばかりが、壁一面にずらりと並ぶ中から何…