戸谷洋志『親ガチャの哲学』(新潮新書)

万城目さんに続いて宮島さん、百万遍文壇?絶好調ですね。
そして中日弱いと言って、ごめんなさい。

 

前年度の余韻に浸る間もなく、クラス開き、授業始まりと、新年度が始まってしまいました。空き時間に読んだのが本書。「親ガチャ」についてルポだったり社会学的な格差論の視点から書かれたものは読んだことがあったが、哲学的に正面から斬り込んだのは初めてだった。

大きなストーリーは「親ガチャ」に対する「自己責任論」について、自分の人生にどこまで責任を負うことができるのか、ということである。ここから派生して、「社会的信用がなくても生きていけるような保障か、社会的信用を得られるような包摂か、どちらの路線を取るか」という問いや、ONE PIECEのエースや進撃の巨人ジークのような「生まれてこなればよかった」という絶望にどう向き合うか、ポケモンミュウツーからナチスの優生思想へ、「保育園落ちた日本死ね!!!」に見る中間共同体の欠如、そしてハイデガーからアーレントハーバーマスロールズと展開して本書は閉じられる。

論点はわかりやすく、頭の整理にはちょうどよかった。
そしてたぶん、今年か来年くらい、模試や入試で使われそうな内容と文章・・・いかん。そういう頭になっている。

(こ)