苫野一徳『ルソー 社会契約論』(別冊NHK100分de名著・読書の学校)

かなり前にルソー『社会契約論』を読んだのだが(今でも手元にある)、途中からよく分からなくなってきた記憶がある。・・・っていうか「立法者」って何?

これは一度、分かりやすい入門書を読んだ方が良いのでは――。そう思っていたところにこの書の存在を知った。苫野一徳『ルソー 社会契約論』。

NHK「100分de名著」の番外編ともいうべき「読書の学校」シリーズである。著者が1冊の名著を選び、中学校・高校に出向いて特別授業を行う(ただし本書はオンライン授業)。

難解な本を、分かりやすく――。これがなかなか難しい。でも本書は、ルソーの『社会契約論』を、それこそ高校生にも理解できるように、丁寧に丁寧に説明していく。

「良い社会」とは何か? これが、著者のいう『社会契約論』の問いである。そして『社会契約論』はその答えを「社会契約」と「一般意志」であるとする。本書はさらに、ルソー以前のホッブズやロックの「社会契約」と、ルソーのいう「社会契約」の異同や、「一般意志」とは何かということについて、例を挙げながら分かりやすく説明していく。

ルソーを源流とする近代民主主義は、いまや当たり前のものになりつつある。とはいえ今はまさに激動の時代。今こそその源流を再確認すべきなのかもしれない。

苫野一徳『ルソー 社会契約論』


(ひ)