2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)

快晴のエスコンフィールド! 大型ビジョンのウエルカムメッセージ!そして幹部の方のご講演!!せんせいの行動力にびっくりです。生徒さんたちがうらやましい。 ---先週に引き続き、こちらも直木賞候補作。一穂ミチ『ツミデミック』。 「パンデミック×犯罪」…

『アンビシャス』その後

修学旅行でエスコンフィールドに行ってきました!ファイターズが札幌ドームを出て誰も見たことがない新球場建設に至った経緯については、鈴木忠平『アンビシャス』で触れられていて、去年の5月にこのブログでも紹介した。 鈴木忠平『アンビシャス 北海道に…

麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)

今回の直木賞候補作は以下のとおり! ・青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)・麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)・一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)・岩井圭也『われは熊楠』(文藝春秋)・柚木麻子『あいにくあんたのためじゃない』(新潮…

勅使川原真衣『働くということ 「能力主義」を超えて』(集英社新書)

前著『「能力」の生きづらさをほぐす』で、「能力」という一件客観的で実はうつろい続ける評価軸に評価する側もされる側も翻弄される現代社会において、そのカラクリを明らかにしようとした著者が、そうした「能力」によって評価する/されることから下りる…

堺屋太一『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』(上下巻・文春文庫)

再来年のNHK大河ドラマは「豊臣兄弟!」。主人公・豊臣秀長を演じるのが仲野太賀さんだと聞いて、一気に興味が高まった。秀長のイメージにぴったりである。これは見たい。 ちょっと気の早い予習をしようと思ったが、秀長についての本で容易に入手可能なも…

今村翔吾『海を破る者』(文藝春秋)

本作の主人公は、伊予河野氏の中興の祖、河野六郎通有である。通有の親族にあたるのが、一遍(別府通秀)。なぜ通秀は武士の身分を捨てて踊念仏を始めたのか・・・物語はそこから始まる。海の向こうでは高麗が元に服属し、大国・宋が滅ぼされた。そして次は…

清永聡編著『三淵嘉子と家庭裁判所』(日本評論社)

前にも書いたが、NHK朝ドラ「虎に翼」がとてつもなく面白い。戦前戦後の司法界を生き抜く女性という、かなりニッチな主人公であり、なおかつ男女平等という相当突っ込んだテーマを扱いながら、それでいてドラマチックでエンタメ作品としても最上級である…

ジェイミー・フィオーレ・ヒギンズ(多賀谷正子訳)『ゴールドマン・サックスに洗脳された私 金と差別のウォール街』(光文社)

胸くそが悪くなりながら、一気に読んでしまった、ゴールドマンサックスの元マネージングディレクターによる、要するに、金のことしか頭にない白人男性が支配する、女性差別と人種差別だらけでパワハラセクハラまみれのゴールドマンサックスでの18年間の勤務…

直島 翔『テミスの不確かな法廷』(角川書店)

裁判官を主人公にしたミステリということで読んでみた。直島 翔『テミスの不確かな法廷』。 任官7年目の裁判官・安堂(あんどう)。本州の最も西にあるY地裁に赴任した彼は、幼少時に発達障害と診断されていて――。 生きづらさを抱える若手裁判官という、な…

前野ウルド浩太郎『バッタを倒すぜ アフリカで』(光文社新書)

タイトルからも表紙の写真からもわかるように、2018年新書大賞を受賞した『バッタを倒しにアフリカへ』(2017)の続編である。アフリカの魅力、バッタの不思議、そして任期付き研究者の悲哀を1冊に盛り込んだ、痛快作の続編であるわけだから、期待値のハード…