清永聡編著『三淵嘉子と家庭裁判所』(日本評論社)

前にも書いたが、NHK朝ドラ「虎に翼」がとてつもなく面白い。戦前戦後の司法界を生き抜く女性という、かなりニッチな主人公であり、なおかつ男女平等という相当突っ込んだテーマを扱いながら、それでいてドラマチックでエンタメ作品としても最上級である。

モデルとなったのは三淵嘉子さん。前にもその評伝を読んだことがあったが、より詳しく知りたくなって、これを読んだ。清永聡編著『三淵嘉子と家庭裁判所』。

著者はNHK解説委員。家庭裁判所の歴史、そして三淵嘉子さんについて取材・調査されてきた方である。出版元は日本評論社であり、こちらも法律図書・法律雑誌の出版社としておなじみである。

全4部構成からなるこの本。第1部「評伝」からして、かなり詳しい。三淵嘉子さんをめぐる様々なエピソードが詰め込まれており、中にはドラマで採用されたものも。

第2部は「ゆかりの人々」。特に、「殿様判事」の異名もある内藤頼博と、初代・最高裁家庭局長の宇田川潤一郎の紹介が興味深い。ドラマでは、前者をモデルとした人物(演ずるのは沢村一樹)が先週から登場しており、後者をモデルとした人物(演ずるのは滝藤賢一)は今週から登場予定であって、ちょうどタイムリーでもある。

第3部は「三淵嘉子を語る」。生前の彼女を直接知る人へのインタビューである。冒頭に出てくるのは弟の武藤泰夫さん。貴重な証言である。第4部は昭和57年実施の、三淵嘉子さんも参加された座談会のテープ起こし。こちらも大変貴重。

ドラマは先週から「裁判官編」に突入。これからますます目が離せない。

清永聡編著『三淵嘉子と家庭裁判所』(日本評論社


(ひ)