2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

プルースト『失われた時を求めて 第二篇・花咲く乙女たちのかげに I・II』(高遠弘美訳・光文社古典新訳文庫)

やっと読み終えた。プルースト『失われた時を求めて』の第二篇「花咲く乙女たちのかげに」。 今回もまた,相当な時間を費やした。 プルースト『失われた時を求めて 第二篇・花咲く乙女たちのかげに I・II』 相変わらず濃密な文章が続く。様々な比喩。次々と…

グレゴリー・ケズナジャット『鴨川ランナー』(講談社)

「鴨川○○○ー」といえば、ホルモー一択だったのだが、ここに新しい選択肢が現れた。 アメリカ人の「きみ」が、高校の時に訪れた京都と日本に魅せられ、英語ネイティブ教員として丹波の町に派遣されてくる。そこで経験する日本は、高校の時に感じたキラキラし…

ダンダダン!コミック3選!

読書の秋! コミックの秋! コミック3選!最近コミック紹介をすることが多いけれど,これは決して,『失われた時を求めて』を読んでも読んでも読み終わらないためというわけでは・・・。 龍 幸伸『ダンダダン』(ジャンプコミックス) 新たな時代の作品か!…

NHKスペシャル取材班『ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』(宝島社新書)

今週いちばん衝撃を受けたのがこの本だった。 本書は2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作スタッフが、取材過程を文章化したものだ。物語は神奈川県の50代の男性の衰弱死から始まる。彼をなんとか支援しよう…

中野耕太郎『シリーズ・アメリカ合衆国史3 20世紀アメリカの夢』(岩波新書)

スターリンがソ連にいた時代,アメリカ合衆国はどうだったか。中野耕太郎『20世紀アメリカの夢』。 岩波新書「シリーズ・アメリカ合衆国史」の第3巻である。 本書が扱うのは20世紀初めから1970年代まで。格差や貧困といった新たな問題に直面したア…

砥上裕將『7.5グラムの奇跡』(講談社)

大先生が『線は、僕を描く』を激賞したのが2年前のこと。満を持して著者の第2作が刊行された。 大学を出たばかりの視覚訓練士・野宮恭一は、北見眼科医院で働き始める。彼はとにかく不器用で、採用試験に落ち続け、同級生の中で唯一就職先が決まらずにいたと…

横手慎二『スターリン 「非道の独裁者」の実像』(中公新書)

半藤一利『世界史のなかの昭和史』の内容を一言でまとめると,ヒトラーとスターリンに振り回された日本,ということになるのだろうか。『ノモンハンの夏』もそんな感じだった。 このうちヒトラーの生涯はなんとなく知っているけれど,スターリンについては断…

青山美智子『月曜日の抹茶カフェ』(宝島社)

猫は最後生き返らないから、たしかに100万回死んだんだなぁ・・・(関係ないけど)。 緊急事態宣言が明けて、ただでさえ忙しい11月にこれでもかというばかりスケジュールが詰め込まれた。スライドしてきた文化祭、体育祭、遠足、校外授業、それに保護者面談…