2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧
今年の夏はこれを読んで過ごした。塩野七生『ギリシア人の物語』。 「塩野七生・最後の歴史長編」と銘打ったこの作品。古代ギリシアの興亡を全4巻で駆け抜ける。 第1巻は「民主政のはじまり」。古代ギリシアのアテネで民主政はいかに生まれ、進展していっ…
ちょうど1年前の2023年8月31日、池袋でそごう・西武労働組合がストライキを起こしてデモ行進をした。 本書は、寺岡執行委員長が当時を振り返った記録である。 そごうと西武という2つの百貨店が、バブル崩壊を経て、生き残りをかけて苦しみながら何度も生まれ…
『死んだ山田と教室』で鮮烈なデビューをした金子玲介さん。その2作目ということで読んでみた。『死んだ石井の大群』。 白い部屋に集められた333人もの「石井」。生き残るのは、1人だけ。他方、探偵事務所を営む男のところに、人探しの依頼が――。 「教…
橋本教授は京都大学の素粒子物理学の先生。「小説すばる」にエッセイを連載中。そして本書はそれをまとめたものである。文才のある理系の先生のエッセイって、とにかく軽妙洒脱なのが多いんだよなあ。 いきなり、人間の知性というか脳のニューロンや人工知能…
「東京地裁で発生した籠城事件」――これだけで、もう読もうと思った。呉勝浩『法廷占拠 爆弾2』。 その前に、まずは前作『爆弾』から読んでみた。 東京都内に仕掛けられた爆弾。自称「スズキタゴサク」と警視庁の刑事らとの知能戦。次から次へと展開される予…
本書が刊行されたのは1992年(平成4年)。昭和天皇が崩御し、いわゆる「独白録」が世に出された時期である。その後、終戦に関する研究は進み、昭和史を総括する形で「実録」も刊行された。 本書は、太平洋戦争の開戦から戦局の悪化、終戦工作、占領という一…
「勇者は魔王を倒した。同時に――帰らぬ人となった。」 昨年出版されたこのライトノベルがとんでもない売れ行きを見せているというので、早速読んでみた。駄犬『誰が勇者を殺したか』。 魔王が倒されてから4年後の世界。勇者をたたえるべく、その偉業を編纂…
今週は月曜日から土曜日まで、顧問しているクラブの大会が続いたので、こんなときにはアンソロジーをカバンに入れておいて、空き時間に読む。 たいてい、短編集にはいくつかちょっと相性が悪い作品が入っているものなのだが、これは違った。全部が大当たりだ…
その『吾妻鏡』の隣にあった本。鈴木紀之『ダーウィン』(中公新書)。 『種の起源』で進化論を唱えたチャールズ・ダーウィン。その生涯をめぐる本である。 『ビーグル号航海記』は全訳で読んだことがあった。エキサイティングな冒険話かと思ったら全然そん…
フランスといえばナポレオン、ナポレオンといえば・・・久しくやっておりませんね。 そうかぁ、大先生、『吾妻鏡』買わなかったのかぁ・・・と思い、それなら私が、と色気を出してしまいました。 身の程知らずでした。大河ドラマ見た程度では、手を出すべき…