山口未桜『禁忌の子』(東京創元社)

今年は新人作家の当たり年かも。そう思わせるミステリである。山口未桜『禁忌の子』。

市民病院で働く救急医・武田航。ある夜に運ばれて来た死体は、なんと彼とそっくりの顔をしていた――。

作者は現役の医師。本作で鮎川哲也賞を受賞してデビューしたのだが、デビュー作とは思えないほど完成度が高い。ストーリーはもちろん、ミステリなのである程度は先を予想しながら読んだりするのだけれど、かなりの確率で裏切られる(もちろん良い意味で。)。

ちょっと驚いたのが、ページの組み立て方にも配慮が行き届いているところ。「ページをめくると驚きの展開が!」みたいな感じ。作者のX(旧Twitter)を見てみると、そうなるように計算して1年以上改稿を繰り返したとある。・・・この人、とんでもない新人だよぉ。

全て読み終えて裏表紙をみると、オビに次回作のお知らせが。こちらも、あらすじだけで「読みたい!」と思わせるものがある。


(ひ)