2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小西マサテル『名探偵のままでいて』(宝島社)

3年余り前に当ブログで紹介した奥乃桜子『それってパクリじゃないですか?~新米知的財産部員のお仕事~』が、なんとこの4月からTVドラマ化! 確かに「どこかでドラマ化されないかなあ」とか書いたけれど、まさか実現するとは・・・。 さて、こちらは「…

青山直篤『デモクラシーの現在地 アメリカの断層から』(みすず書房)

「トランプ現象」が、連邦議会襲撃という最悪の事態によっていったんは下火となったものの、来年に迫った大統領選挙を前に、また少しずつ再燃してきているらしい。本書は、筆者が朝日新聞のアメリカ特派員時代に取材した、トランプ政権とそれを支えた草の根…

夕木春央『方舟』(講談社)

こちらも本屋大賞ノミネート作品。夕木春央『方舟』。 山奥にある謎の地下建築。友人らや従兄とともに訪れてみたところ、地震が起きて閉じ込められてしまう。そんな時に殺人事件が発生し――。 ミステリにおけるクローズド・サークルといえば絶海の孤島とか雪…

門井慶喜『江戸一新』(中央公論新社)

『家康、江戸を建てる』から時が経ち、時は4代家綱の御代である。 のちに「明暦の大火」と呼ばれる火災は、江戸の街を焼き尽くし、10万人とも言われる死者を出した。その江戸の復興に立ち向かったのが、「知恵伊豆」こと老中松平信綱であった。松平信綱は歴…

安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』(集英社)

今年の本屋大賞は『汝、星のごとく』と『光のとこにいてね』の一騎打ちかも・・・とか勝手に思っていたら、いやまだまだ他にもあった。安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』。 音楽著作権管理団体に勤務する青年・橘は、ある日、上司の命令で音楽教室に潜入捜…

北川直利『ミッション・スクールとは何か』(岩田書院)

今日は、個人的な読書メモ。 今、日本中のカトリック学校が、危機に瀕している。聖職者の高齢化、修道院の撤退、生徒減少・・・。そうした中で「カトリック教育」についての論考は数あるし、都市のキリスト教系ミッションスクールについては、立身出世主義あ…

黒田基樹『戦国大名・伊勢宗瑞』(角川選書)

『享徳の乱』を読んで、ますます北条早雲に興味がわいた。こうなれば本格的に読もう、と思って手を出したのがこちら。黒田基樹『戦国大名・伊勢宗瑞』。 伊勢宗瑞。後に北条早雲の名で知られる人物の本格評伝である。タイトルにもサブタイトルにも「北条早雲…

柞刈湯葉『まず牛を球とします』(河出書房新社)

SFというのは空想科学小説なんだから、科学的であることが大前提である。 ガチの生物学研究者が書いた短編小説集からは、サイエンスの香りがプンプンと漂ってくる。 ただしその香りは、何やら独特の風合いがして、どうも鼻につく。慣れればそれが病みつきに…