黒田基樹『戦国大名・伊勢宗瑞』(角川選書)

享徳の乱』を読んで、ますます北条早雲に興味がわいた。こうなれば本格的に読もう、と思って手を出したのがこちら。黒田基樹戦国大名・伊勢宗瑞』。

伊勢宗瑞。後に北条早雲の名で知られる人物の本格評伝である。タイトルにもサブタイトルにも「北条早雲」と入れないところに筆者の矜持を感じる。

最近だとゆうきまさみ『新九郎、奔る』でもおなじみであるが、筆者によると、ここ30年ほどの間で研究が随分進み、人物像が大きく書き換えられてきたという。そういえば早雲が主人公の司馬遼太郎『箱根の坂』では、今川義忠に嫁いだ北川殿は早雲の「妹」とされていたが、今では「姉」と解されている。

さて、室町幕府の有力官僚の出身である早雲にとって、大きな人生の転機となったのは、やはり長享元年(1487年)の東国への下向であろう。

文明8年(1476年)の今川義忠の突然の討死。家中が二分する中で、北川殿は義忠の嫡子・龍王丸とともにいったん隠棲するも、やがて龍王丸を今川家当主に擁立する姿勢をみせ、準備を重ねる。早雲はこれに呼応し、駿河に下向して、反対派を討滅。この時、早雲32歳。姉と弟の強力なタッグというところに、なんとなく北条政子・義時を思わせるものがある。

以後、伊豆への討ち入り、小田原城奪取、山内・扇谷上杉家領国への侵攻等々を経て、最終的に早雲は、伊豆・相模2か国を領国とする戦国大名となるのである。

・・・そろそろ大河ドラマ、どうですか?

黒田基樹戦国大名・伊勢宗瑞』(角川選書


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