2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「MINAMATA ーミナマター」(2020、アメリカ=イギリス)

写真家ユージン・スミスは、太平洋戦争に従軍して決定的瞬間を次々と発信し、その後、フォトジャーナリズムの新境地を開拓していた「LIFE」誌の専属カメラマンとなり、名声を手に入れた。しかし今やその影もなく、酒におぼれる毎日である。そこへ、日本へ来…

海が走るコミック4選

・たらちねジョン『海が走るエンドロール』(ボニータコミックス) うみ子,65歳。映画の世界へダイブ! たらちねジョン『海が走るエンドロール』 夫と死別し,独り暮らしのうみ子。ふと入った映画館で,映像専攻の美大生・海(かい)と衝撃的な出会いをす…

アンドレ・ヴィオリス『1932年の大日本帝国 あるフランス人記者の記録』(草思社)

アンドレ・ヴィオリスはフランスの女性ジャーナリスト。第1次世界大戦の最前線からルポを発信し、アフガニスタンや仏領インドシナにも足を運んだ。パリ講和会議を取材し、ロイド・ジョージ英首相の独占インタビューにも成功している。 彼女は上海滞在中に第1…

NATSUMI『大正浪漫』(双葉社)

小説を音楽にするユニット・YOASOBI。その新曲「大正浪漫」のリリースに合わせて発売された小説がこちら。NATSUMI『大正浪漫』。 中高一貫校に通う中学2年生の時翔(ときと)。ある日,机の上に不思議な「手紙」が置かれていて・・・。 細かいところでいろ…

笠井亮平『インパールの戦い ほんとうに「愚戦」だったのか』(文春新書)

「インパール作戦」といえば、無謀きわまりない大失敗、あるいは死屍累々の代名詞となっている。 しかし、イギリスの歴史家の中では「インパールの戦い」が「グレイテスト・バトル」のひとつに挙げられているのだという。そこで著者は、東南アジア史あるいは…

『墨子』(金谷治訳・中公クラシックス)

先日,「次にくるマンガ大賞2021」が発表されました!「コミックス部門」と「Webマンガ部門」とがあるのですが,なんと赤坂アカ×横槍メンゴ『推しの子』がコミックス部門の第1位に,松本直也『怪獣8号』がWebマンガ部門の第1位に輝きました!いずれも…

柚木麻子 / 伊吹有喜 / 井上荒野 / 坂井希久子 / 中村航 / 深緑野分 / 柴田よしき『注文の多い料理小説集』(文春文庫)

30人の大どんでん返しがとても痛快だったので、次に手にしたのが、料理にまつわるアンソロジー。これがまたよかった。 トップバッターの柚木麻子さんが、BUTTERとナイルパーチを掛け合わせたようなクリーンヒット(長編だと胃もたれするけれど、短編だとちょ…

モーパッサン『オルラ/オリーヴ園』(太田浩一・光文社古典新訳文庫)

光文社古典新訳文庫の「モーパッサン傑作集」。今回は,晩年の中・短編を収録した『オルラ/オリーヴ園』である。 冒頭の「ラテン語問題」がいい。学生の「ぼく」が,中年のラテン語教師に仕掛けたとある「いたずら」をめぐる物語なのだけれど,こういう軽く…

小学館文庫編集部編『超短編!大どんでん返し』(小学館文庫)

30人の脂の乗った作家陣(*)による、4ページのショートミステリー集(門井慶喜さんだけ分量オーバーで5ページ)。 いくつかは「??」と読み返したりしたけれど(そしてさらにそのいくつかは読み返しても「?????」だったけど)、ほとんどが「ああ、やら…