2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・リード『世界を揺るがした10日間』(伊藤真訳,光文社古典新訳文庫)

「『岩波文庫の100冊の本』って知ってるか? 僕ら学生の頃は,東大・京大生はこれを70冊読め,って言われてたんや。君ら,読んでへんやろ。」4,5年前,ある会合で70歳近くの大先輩から言われた言葉である。帰宅してから調べてみると,昭和36年に…

門井慶喜『新選組の料理人』(光文社)

門井さんは、その人にいきますか、というところにスポットライトを当てる。 宮沢賢治の父上だったり、利根川東遷を指揮した伊奈忠次だったり、慶長小判をつくった後藤庄三郎だったり。 今回の主人公は、ひょんなことから新選組の専属シェフとなった菅沼鉢四…

島本理生『ファーストラヴ』(文藝春秋)

・上田早夕里『破滅の王』(双葉社)・木下昌輝『宇喜多の楽土』(文藝春秋)・窪美澄『じっと手を見る』(幻冬舎)・島本理生『ファーストラヴ』(文藝春秋)・本城雅人『傍流の記者』(新潮社)・湊かなえ『未来』(双葉社) 今週発表された直木賞候補作で…

麻耶雄嵩『友達以上探偵未満』(角川書店)

ここしばらく重たい本が続いたので,たまには肩肘の張らないミステリを,と思って読んだところ,意外に面白かった。麻耶雄嵩『友達以上探偵未満』。 事件が起こって,謎があって,それを「探偵」役が謎解きする,という王道の本格ミステリだが,本作品の「探…

是枝裕和『万引き家族』(配給:GAGA、ノベライズ:宝島社)

柴田治は、妻の信代、息子の翔太、母の初枝、妻の妹の亜紀の5人暮らし。足りない生活費を万引きで補って、なんとか暮らしている。凍えそうなある冬の夜のこと、親から虐待を受けてベランダでうずくまる少女を治と翔太は家に連れてくる。返しにいくのだが、「…

直木賞ノミネート作品・大予想!

さて,今年も上半期の直木賞の時期が近づいてまいりました。公式twitterによると,ノミネート作品は「6月中旬」に発表とのこと。今回は,上半期に発表された文芸作品(全部で数百冊くらいあるのか?)の中から,果たしてどんな作品がノミネートされるのか,…

吉川徹『日本の分断』(光文社新書)

東京で5歳児が虐待死させられた事件に、心が痛み続けた一日。 前著『学歴分断社会』では、日本社会の分断線を「大卒」と「非大卒」の間に引き、現代日本では両者がほぼ半分ずつ暮らしていて、前者の子どもは前者、後者の子どもは後者として、階層の再生産が…

柚月裕子『凶犬の眼』(角川書店)

あの衝撃の警察小説『孤狼の血』に,まさかの続編が出た。柚月裕子『凶犬の眼』。 平成2年の広島県内。田舎の駐在所に左遷された日岡秀一。カレンダーに×印をつけながら毎日を虚しく過ごしていたところに,ある男がやってくる。それは,殺人事件で指名手配…

半藤一利『歴史と戦争』(幻冬舎新書)

「半藤一利語録」が出た。本書は氏の膨大な著作の中から一段落ずつ取り出してまとめたものである。 『日本のいちばん長い日』に始まり、氏の幕末氏、近代史、昭和史を一貫する視点は、為政者の偽善、危機にあって浮かび上がる真の知性と勇気であり、そしてそ…