2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

太宰治『津軽』『ヴィヨンの妻』(新潮文庫)

太宰治。中学生の頃に『斜陽』とか『人間失格』とか『富嶽百景』とかを読んだのだけれど,まあ一時的なものにとどまり,その後全く読んでいなかった。 先日,ふと書店の文庫コーナーで太宰の本が目にとまった。こういうの,中学・高校生くらいの時に読みこぼ…

本田由紀編『文系大学教育は仕事の役に立つのか』(ナカニシヤ出版)

今年8月、NHK Eテレの「バリバラ」に「障害者×戦争」という回があった。戦時下で「穀潰し」「役立たず」と言葉を投げつけられ続け、中には身内から命を奪われかけた人の証言もあった(きっと実際に手をかけられ命を落とした人はたくさんいたのだろう)。ナチ…

和田裕弘『信長公記―戦国覇者の一級史料』(中公新書)

垣根涼介『信長の原理』読了後,たまたま見つけたので読んでみた。和田裕弘『信長公記―戦国覇者の一級史料』。 「信長公記(しんちょうこうき)」は,織田信長の一代記である。著者は信長の馬廻衆であった太田牛一。「父親の葬儀で抹香を投げつける」,「斎…

有馬哲夫『原爆 私たちは何も知らなかった』(新潮新書)

このブログも、100エントリーを超えました。来週から2年目に突入します。200エントリーに向けて、がんばってまいりましょう。 = 「日本への原爆投下が決定された」という一文の次に、どのような言葉が続くだろうか。「こうして広島・小倉・新潟などが投下目…

三浦しをん『愛なき世界』(中央公論新社)

恋愛小説。いや,恋愛「未満」小説というべきか。三浦しをん『愛なき世界』。 洋食屋の見習い・藤丸陽太は,植物学研究室の大学院生・本村紗英がちょっと気になる。いや,すごく気になる。気になるのだけれども,本村はシロイヌナズナの研究が大好きで・・・…

辻村深月『青空と逃げる』(中央公論新社)

逃避行。ささやかな平和な暮らしが続くほど、次の崩壊が近づく。賽の河原の石積みのように。 母と子は、逃げる。四万十へ、別府へ、仙台へ。そこで出会う人々が優しすぎて温かすぎる。だからこそ、切ない。そして、力は成長する。早苗とともに。 最後の最後…

菅野仁『友だち幻想』(ちくまプリマー新書)

売れている本とか話題書とかは普段はあまり取り上げないのだけれど,この本はちょっと紹介しておきたい。菅野仁『友だち幻想』。 友だちとのつきあい方。人との距離感。そういったことに悩む若者向けに書かれた本である。筆者は社会学者。10年も前に書かれ…