2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

サン=テグジュペリ『戦う操縦士』(鈴木雅生訳,光文社古典新訳文庫)

ふらりと入った書店でたまたま目にとまった。今の気分に寄り添ってくれるような気がしたので読んでみることに。サン=テグジュペリ『戦う操縦士』。 1940年5月。ドイツ軍の侵攻の前に敗走を重ねるフランス軍。操縦士である「私」は,戦略的に無意味で,…

山田剛史他『Rによるやさしい統計学』(オーム社)

読書日記というよりは、近況報告に近いかも。 == 我が社も3月2日から休校に入りました。とはいいつつも、3月はもともと授業がないので、めちゃくちゃやることがなくなってしまったという感覚はありません。午後からは予定通り、みっちりと校務が入って…

トゥキュディデス『戦史』(久保正彰訳・中公クラシックス)

こんな時こそ重厚な古典をと思っていたところ,たまたま再販になっていたので読んでみた。中公クラシックス版・トゥキュディデス『戦史』。言わずと知れた,ペロポネソス戦争(紀元前431年~404年)を叙述した作品である。 トゥキュディデスはリアリス…

塚原朝子『患者になった名医たちの選択』(朝日新書)

平常運転平常運転と思いつつ、けっこう気は張り詰めているようで、からっきし読んだ本が頭に入ってこない。ゆる系の小説はまったく体が受け付けず、世界恐慌関連の本も読んだけど、何だかいつもと読後感が違う。 そんな中本書は、自身が病気になった医師18人…

マルクス・ガブリエル『世界史の針が巻き戻るとき』(大野和基訳・PHP新書)

こんなときこそ平常運転~。 最近話題のマルクス・ガブリエル。流行に乗ってみたい気もするが,でも難しいかもなぁ・・・と思っていたところ,語り下ろしが出た。『世界史の針が巻き戻るとき』。 今世界に起こりつつあるとする5つの危機,すなわち「価値の…

データスタジアム株式会社 『野球×統計は最強のバッテリーである   セイバーメトリクスとトラッキングの世界 』(中公新書ラクレ)

今はきっと世界史上の転換点なのだろう。20世紀的な世界秩序の断末魔の声なのか。 こんど「スポーツデータ解析コンペティション」というのに生徒が参加することになって、自分も一緒になって統計の勉強を始めることにした(休校期間だし)。 セイバーメトリ…

小梅けいと『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ原作/KADOKAWA)

話題の漫画ということで読んでみた。小梅けいと『戦争は女の顔をしていない』。 原著は,スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチによるドキュメンタリー書籍である。ソ連では,第二次世界大戦に100万人を超える女性が従軍し,しかも戦後は世間から白い目で見…

門井慶喜『自由は死せず』(双葉社)

タイトルから察する通り、板垣退助の一代記。 札付きの悪童であった幼少時代から、幼なじみの後藤象二郎とともに山内容堂に引き上げられ、武市半平太と対峙し、幕末の動乱から御一新を経て戊辰の戦役に身を投じる。甲府制圧の際に乾姓から板垣姓に変えたとい…