タイトルから察する通り、板垣退助の一代記。
札付きの悪童であった幼少時代から、幼なじみの後藤象二郎とともに山内容堂に引き上げられ、武市半平太と対峙し、幕末の動乱から御一新を経て戊辰の戦役に身を投じる。甲府制圧の際に乾姓から板垣姓に変えたというのは知らなかった(実際に彼は武田四天王・板垣信行の末裔である)。会津攻略を経て、新政府の参議となるも、明治六年の政変によって下野(征韓論争についての説明があまりに通り一遍なのはちょっと拍子抜け)。「ことばの戦争」に身を投じる。「自由は土佐の山間より!」
いよいよその日(1882年4月6日)、岐阜で板垣が暴漢に刺される。そのとき板垣は・・・そうですか、そういうことにしましたか。
物語は、帝国議会開院式の日、伊藤博文との邂逅のシーンで幕を閉じる。これ以降も板垣は政治家として活躍し、引退してからも慈善事業に注力したというが、エピローグとして半ページさらりと触れるにとどまっている。
明治寡頭制(いわゆる藩閥政治)から初期議会への流れは、伊藤・山県・板垣・大隈という4人のリーダーのもとに組織されたグループの権力闘争として理解できる。山県以外の3人は、国会議事堂の中央広間で後輩たちを見守っている。
1919年没。百年経った日本の議会は、あなたが思い描いていた姿ですか?
(こ)