2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

深沢七郎『楢山節考』(新潮文庫)

○□メガネの成田某助教だか助教授だかが、年寄りは安楽死うんぬんとおっしゃったのを聞いたとき、ふと緒形拳の映像が頭によぎったので、そういえば原作を読んだことがないな、よし、読むか、というわけで、アマゾンで中古をポチ。届いた本は、ていねいに蠟紙…

宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)

この本、とにかくおもしろい!! 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』。 滋賀県大津市を舞台にした連作短編集である。 全ての話に共通して登場するのは、強烈なキャラの持ち主の少女・成瀬。第1話の「ありがとう西武大津店」と第2話「膳所から来ました」か…

近藤龍春『家康の血筋』(実業之日本社)

麒麟、青天、鎌倉殿、に続いて、家康、これからどうするのかな・・・? ということで、書店に家康コーナーができていて、タイトル見て手に取ったのがこれ。家康の男子は偉大な父親の前でなかなか苦労したというが、その中で、「切腹」で長男・信康を、「捨子…

伴名 練『なめらかな世界と、その敵』(ハヤカワ文庫)

話題になっていたので読んでみた。伴名 練『なめらかな世界と、その敵』。 6つの作品からなるSF短編集である。 表題作でもある1作目「なめらかな世界と、その敵」からアクセル全開。独自の世界観の構築と青春。読者を心地よい混乱に陥れる。 3作目の「…

岩田清文・尾上定正・武居智久・兼原信克『君たち、中国に勝てるのか』(産経セレクト)

今週はちょっと長い出張があったりして、ゆっくりと本を読む時間がとれなかった。出発前に、移動の機内や車内で読む本を買い込んだのだが、今回は小説ではなくて新書がメインとなった。そのうちの1冊。タイトルがうまいので手にしてしまった。安倍元首相の言…

倉本一宏『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書)

来年の大河ドラマ「光る君へ」の追加キャストが発表された。藤原兼家、藤原道隆、藤原道兼・・・といった人物も出てきており、ドラマではどうやら藤原道長が権力を把握するまでの過程も丁寧に描くようである。 藤原道長については、教科書に書かれていること…

湊かなえ/星野博美ほか『こぽこぽ、珈琲』(河出文庫)

人間ドックに行ってきた。検査の合間の細切れ時間のお供には、アンソロジーがちょうどいい。断食明けの遅いランチ、そして食後の珈琲をいただきながら、続きを読む。 コーヒーにまつわる31編の短編集。湊かなえ、星野博美、よしもとばなな、向田邦子、村上春…

浦沢直樹×手塚治虫『PLUTO』(小学館)

『PLUTO』がアニメ化されるという。 『PLUTO』は、手塚治虫の鉄腕アトム「地上最大のロボット」を浦沢直樹がリメイクした作品である。実は昔、途中までは読んでいた。今回、改めて最初から読んでみることに。 スイスのロボット・モンブランが山火…

三浦英之『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』(集英社)

コンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサから南東へ1600キロ離れたカタンガというところに、1970年代に日本企業の銅山があり、多くの日本人がこの地で暮らしていた。その中には現地の女性と結婚し子どもをもうけた人もいた。この銅山は閉鎖され、日…