伴名 練『なめらかな世界と、その敵』(ハヤカワ文庫)

話題になっていたので読んでみた。伴名 練『なめらかな世界と、その敵』。

6つの作品からなるSF短編集である。

表題作でもある1作目「なめらかな世界と、その敵」からアクセル全開。独自の世界観の構築と青春。読者を心地よい混乱に陥れる。

3作目の「美亜羽へ贈る拳銃」は、当ブログでも紹介した伊藤計劃『ハーモニー』へのトリビュートである。改めてその影響力の大きさを思う。

他にも様々な作品が収録されているが、やはり最も印象深いのは、最後の「ひかりより速く、ゆるやかに」であろう。未曽有の災害が発生した新幹線。発想がすばらしいのと同時に、人間ドラマとしても面白い。

カバーイラストは赤坂アカ。先日「作画をする漫画家」としての活動を一旦終了する旨の宣言をしていたが(原作者としては活動を継続)、そのイラストは唯一無二のものがある。今後も何らかの形で描き続けてほしい。

伴名 練『なめらかな世界と、その敵』(ハヤカワ文庫)


(ひ)