マルクス・ガブリエル『世界史の針が巻き戻るとき』(大野和基訳・PHP新書)

こんなときこそ平常運転~。

最近話題のマルクス・ガブリエル。流行に乗ってみたい気もするが,でも難しいかもなぁ・・・と思っていたところ,語り下ろしが出た。『世界史の針が巻き戻るとき』。

今世界に起こりつつあるとする5つの危機,すなわち「価値の危機」「民主主義の危機」「資本主義の危機」「テクノロジーの危機」「表象の危機」を軸に,自由自在に語り下ろした本である。

僕は,哲学者とか思想家というものは,みんなが「こうだよね。」と漠然と思っていることに対して,「いや,そうじゃないよ。本当はこうなんだよ。」と異論を差し挟むことのできる人だと思っている。マルクス・ガブリエルはその意味ですぐれた哲学者であり,本書は我々の思い込みを少し違った角度で浮かび上がらせる格好の書である。

聞き手が日本人ということもあり,マルクス・ガブリエルはところどころで日本にも言及する。リップサービスだと分かっていても,それがちょっと,うれしい。


(ひ)