安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』(集英社)

今年の本屋大賞は『汝、星のごとく』と『光のとこにいてね』の一騎打ちかも・・・とか勝手に思っていたら、いやまだまだ他にもあった。安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』。

音楽著作権管理団体に勤務する青年・橘は、ある日、上司の命令で音楽教室に潜入捜査をすることに。そこで出会ったのは、チェロ講師・浅葉――。

表紙の雰囲気からして幻想的な音楽ものかと思ったら、全然そんなことはなく、むしろ序盤から中盤にかけては陰鬱な空気が漂う。身分を隠して潜入していることの背徳感、そして橘自身の過去・・・。こんな設定、バッドエンドしかないのではと思いながらも、ページを繰る手が止まらない。

読後感は、すごく良かった。

映画化が合いそうな作品でもある。どこかの監督が実写映画化しないものか。

安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』(集英社


(ひ)