ダンダダン!コミック3選!

読書の秋! コミックの秋! コミック3選!
最近コミック紹介をすることが多いけれど,これは決して,『失われた時を求めて』を読んでも読んでも読み終わらないためというわけでは・・・。

 

龍 幸伸『ダンダダン』(ジャンプコミックス

新たな時代の作品か!? 幽霊と,オカルトと,そしてバトル!

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龍 幸伸『ダンダダン』

幽霊の存在を信じる高校生・綾瀬桃。UFOの存在を信じるオタク少年とともに,様々な怪奇現象に立ち向かう――。

ジャンル的にはバトル物ということになるのだろうけれど,とにかく展開が早い。そして濃い。主人公は,普通(じゃないかもしれないけれど)の高校生男女。どちらが主,どちらが従ということもなく,対等な立場で敵に立ち向かう姿に,爽快感すら感じられる。

注目すべきなのはその絵柄。線が太いため粗削りなようにみえて,実はとても読みやすく,またデザイン性も高い。

良い意味で,読者の予想を裏切る展開が次々と続く。まるでジェットコースターに乗っているような気分になる。なお,若干下ネタが多めなんだけど,これはもう,そのうち慣れてくる,というか麻痺してきます。

 

篠原健太『彼方のアストラ』(ジャンプコミックス

宇宙を舞台にした,高校生サバイバルストーリー。『彼方のアストラ』。

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篠原健太『彼方のアストラ』

宇宙への往来が当たり前になった近未来。高校生のカナタら9名は「惑星キャンプ」に旅立つが――。

あちこちで高評価だったので読んでみたところ,想像以上に面白かった。笑いあり,ミステリ要素ありの近未来SFで,読み手を全く飽きさせることなく,ストーリーが進んでいく。連載は既に終了しているが,リアルタイムで読んでいた読者はさぞ楽しかっただろう。

衝撃だったのは第4巻。読んでいて思わず「えっ・・!?」と声が出た。そのあとしばらく忙しくて本屋に行けず,そのため第5巻がとても待ち遠しかったところである。

全5巻という長さもちょうどよく,壮大な映画を見終わったかのような読後感であった。女性キャラの描き方がちょっとアレだけれど,これはもう,そのうち慣れてくる・・かも。

 

ナガノ『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』(ワイドKC)

流行ものなので読んでみた。『ちいかわ』。

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ナガノ『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』

・・・怖い!

一見すると癒し系ほのぼのマンガなんだけれど,実はハードでダークな世界観。理不尽な展開も少なくない。

例えば第1巻の「なんとかバニア」という話。シルバニアっぽい人形をプレゼントされ,大切に抱きしめたところ・・・怖い!

あるいは同じく第1巻の「キメラ」という話。「あはっあはっ・・こんなになっちゃった・・・」 怖い怖い!

もちろんただ癒されるだけの話も多いのだけれど,読んでいて心に残るのはこういうダークな話ばかり。何かこう,心をえぐるような,トラウマを植え付けるような物語である。実際,主人公たちはよく涙する。こんなに涙する癒し系漫画,見たことない。

世界観も独特。主人公たちは労働に励み,わずかな賃金を手にし,そしてちょっとした買い物をしてささやかな物欲を満たす。――これはまさに,僕たちの世界の縮図ではないか!?

とにかく読めば読むほど語りたくなる作品である。しかも何度も読み返したくなる(それもダークな話に限って)。

まあ,なんだかんだ言って,主人公たちに癒されるのは確かである。結局,僕もちいかわのLINEスタンプを購入したりして,ささやかな物欲を満たしている。


(ひ)