コミック4選

不定期企画・コミック○選。
今回は最近読んだ中から4編をご紹介。

 

・山口つばさ『ブルーピリオド』(アフタヌーンKC)

高校生・矢口八虎。成績優秀で世渡り上手だが,どこか空っぽな毎日を過ごしていた。ところがある日,一枚の絵に心を奪われてしまい,東京藝術大学を目指すことに・・・。

美術系大学の受験がテーマではあるが,それだけにとどまらない,一人の青年の内面を掘り下げた作品。モノローグが多く,主人公の心と読者の心がシンクロする。

第7巻と第8巻は正直ちょっと・・・という展開になっていたのだけれど,先月発売された第9巻は,作品本来の良さが見事に復活。旧友との再会。ベラスケスの絵。才能なのか,努力なのか,努力できるのも才能なのか論争。そして主人公の決意――。読み応え満載の巻となった。

なお,この『ブルーピリオド』にインスパイアされてできた曲として,YOASOBIの「群青」(作詞・作曲:Ayase)がある。これがまた,いい曲。

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンKC)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンKC)

 

松本直也『怪獣8号』(ジャンプコミックス

既にあちこちで紹介されているけれど,やはり面白いのでここでも紹介。

日比野カフカ,32歳。怪獣大国・日本において,怪獣専門清掃業として働くが,「防衛隊員」になる夢をあきらめられない。そんなある日,カフカは身体が怪獣化してしまい・・・。

シリアスとギャグのバランスが絶妙。また,主人公がオッサン(32歳だけど・・)という設定も良い。ストーリーも新鮮で,それでいて王道を突き進んでいる。他にも怪獣が地震(震災)のメタファーにもなっていたりするなど,とにかくてんこ盛りである。

第1巻はものすごくいい所で終わってしまった。次が早く,読みたい。

怪獣8号 1 (ジャンプコミックス)

怪獣8号 1 (ジャンプコミックス)

  • 作者:松本 直也
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: コミック

 

・つるまいかだ『メダリスト』(アフタヌーンKC)

新進気鋭の作者が描く,フィギュアスケートの物語。

トップ選手を目指しながらも,夢破れた青年・司。偶然出会った小学生・いのりの熱い思いを受け,コーチとなって世界を目指すことに・・・。

とにかく熱量が半端ない。司といのりの,フィギュアスケートに対する思い。そして,この作品を書きたいんだという,作者の思い。

「司先生は…っ 私が世界一になりたいって言ったら手伝ってくれますか?」

まだ始まったばかりなのに,目頭が熱くなる。

なお,来週には第2巻が発売されるという。絶対読むぞ~。

メダリスト(1) (アフタヌーンKC)

メダリスト(1) (アフタヌーンKC)

 

清水茜はたらく細胞』(シリウスコミックス)

体内での細胞の働きを擬人化した作品である。

アニメ化され,映画化され,数え切れないほどのスピンオフ作品が生まれた。厚生労働省のポスターにもなった。これがついに,今月発売の第6巻をもって完結。

赤血球,白血球(好中球),血小板。キラーT細胞,NK細胞,B細胞,マクロファージ。君たちの活躍を,もう決して忘れることはないだろう。

最終話は「新型コロナウィルス」。時代に即したタイムリーな話で,有終の美を飾る。

はたらく細胞(6) (シリウスKC)

はたらく細胞(6) (シリウスKC)

  • 作者:清水 茜
  • 発売日: 2021/02/09
  • メディア: コミック

(ひ)