堺屋太一『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』(上下巻・文春文庫)

再来年のNHK大河ドラマは「豊臣兄弟!」。主人公・豊臣秀長を演じるのが仲野太賀さんだと聞いて、一気に興味が高まった。秀長のイメージにぴったりである。これは見たい。

ちょっと気の早い予習をしようと思ったが、秀長についての本で容易に入手可能なものはそれほど多くない。ということで読んでみたのがこちら。堺屋太一豊臣秀長 ある補佐役の生涯』。

副題にもあるとおり、秀吉の「補佐役」としての秀長を描いた小説である。

激動の戦国時代にあって、常に脇役に徹した秀長。この人なくして、秀吉の成功はあり得なかった。本書は小説という形を取りながら、この有能な「ナンバー2」の半生を描き出す。

堺屋太一の作品ということで、「経済」や「組織」の話がしばしば出てくるが、これは同時に秀長の生き方の特徴でもあろう。派手な合戦よりも手堅い実務。権謀術数よりも実直さ。現代人の我々がお手本にすべきなのは、秀吉よりも秀長なのかもしれない。

堺屋太一豊臣秀長 ある補佐役の生涯』(上下巻・文春文庫)



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