米澤穂信『可燃物』(文藝春秋)

このたびの震災に際し、心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様の一日も早いご復興をお祈り申し上げます。

 

年末年始は実家で過ごす。Kindleで過ごせばいいやと、紙の本をほとんど持たずに帰省したのだが、がっつり読むには物足りない。イオンモールに買い物に出たついでに、『極楽征夷大将軍』(時間かかりそうなのでこれまでなかなか手が出せず・・・)と『可燃物』をゲット。

足利尊氏のキレキレの極楽トンボっぷりには、どうしてもDr.伊良部が重なってしかたなかった。「マユミちゃ~ん」の声が何度も聞こえてきそうで、苦笑。

 

今年の1冊目は王道ミステリーから。

ストーリーの主は、群馬県警本部捜査第1課の葛(かつら)警部。証拠に丹念に向き合いながら刑事としての直感を大切にする操作方法は、捜査を先に進めて容疑者を早く挙げたい上層部からは快く思われていない。
そんな葛警部が遭遇した、5つの事件。
上毛高原のスキー場での遭難死亡事故、藤岡市で強盗事件の被疑者が起こした交差点での衝突事故、榛名山麓で見つかったバラバラの死体、太田市の連続放火事件、伊勢崎市のファミレスで起きた立てこもり事件。

紙の質が、もったいないくらい、よくて、指に吸い付くようにページを次々とめくって読み進めていく。

あ~そうきたか、お見事。×4回。

 

なぜ4回かというと・・・

わくわくしながら1本目の「崖の下」を読み始めると・・・

ん? これ、犯人彼で、凶器はあれと違うん?

思い出した。『神様の罠』に入ってたやつやん。単行本より先にアンソロジーの方に入れて文庫化するのって、どうなんかな・・・。

というわけで、冒頭でいきなり蹴躓いてしまったのだが、しっかり3本目(2本目はまだ立ち直れていない)からは没頭。ちょっと実写化が難しそうなシーンがあるのだけれど、5本目の最後の1行で救われた気分である。

 

今年もよい本との出会いがたくさんありますように。

(こ)