既に読み終えてから4,5日経つが,まだこの小説のインパクトから抜け出せないでいる。朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』。
北海道の病院で植物状態のまま眠り続ける「智也」と,これを見守る「雄介」。2人の間に横たわるのは,友情か,それとも・・・。
平成の時代における生きづらさを,「平成」という文字を一切使わずに(僕が見落としていなければ,だけど)描き出した大作である。生きがいって何だろう,オンリーワンって何だろう・・・。登場人物たちの焦燥がひしひしと伝わってくる。
ところでこの作品は,先に紹介した「螺旋プロジェクト」の1つ。伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8名9組の作家の競作プロジェクトである。本作では,朝井リョウ本来のリアルな心理描写に,伊坂幸太郎的なファンタジー要素(「海族と山族の対立」など)が盛り込まれ,見たことのない化学変化を起こしている。
最終章は圧巻であった。
- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2019/03/07
- メディア: 単行本
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(ひ)