凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)

映画『すずめの戸締まり』見てきました。
すごかった。小説版を読んでいたが、想像をはるかに超える出来だった。
ストーリー、演出、音楽から声優まで、どれをとっても最高の作品だった。
・・・結局2回見た。

さて、こちらは凪良ゆうさんの新刊『汝、星のごとく』。

瀬戸内海の島で暮らす高校生の暁海(あきみ)と櫂(かい)。それぞれが問題のある母親を抱え、また世間の目に押しつぶされそうになりながら、毎日を必死に生きていたが――。

広い意味では恋愛小説に含まれるのだろうが、本作は決して甘ったるいラブストーリーなどではなく、むしろそれとは真逆の、心が引き裂かれるような物語。いかにして生きるかを真正面から問う重厚な作品である。

2人の主人公だけでなく、これらを取り巻く登場人物の造形がよい。どの人物もそれぞれ問題を抱えながら、様々な形で主人公の人生にかかわっていく。中でも「北原先生」が秀逸。人生を一歩引いたような立場から繰り出される様々な言葉が、胸に突き刺さる。

それにしてもまた、すごい作品が出てきたものである。ひょっとしたら、著者にとって初の直木賞ノミネートまで行くかのかも。

凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社


(ひ)