浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで』(角川文庫)

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』が予想以上に面白かったので,著者の他の作品をと思い,読んだのがこちら。『教室が、ひとりになるまで』。

高校で3名の生徒が立て続けに死亡。垣内友弘は,同級生の白瀬美月から,3名は「死神」に殺されたと告げられる。これと前後して,友弘には特殊な「能力」が授けられ・・・。

ミステリに超自然的な設定をからませた,いわゆる「特殊設定ミステリ」である。とはいえ舞台は高校。本作の特殊設定に違和感はなく,すっと溶け込むように読むことができた。

完成度という点ではやはり『六人の嘘つきな大学生』の方が高いものの,本作でも謎解きは面白く,また伏線回収も鮮やか。他方で,本作では「全員が仲のいい最高のクラス」の負の部分についても取り上げていて,単なるエンタメ小説にとどまらず,メッセージ性も強い。こちらも結局,一気読みしてしまった。

教室が、ひとりになるまで (角川文庫)

教室が、ひとりになるまで (角川文庫)


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