半藤一利+保阪正康『昭和の名将と愚将』(文春新書)

 グテーレス国連事務総長が「世界はコロナは戦争状態だ」と訴えたそうだ。
 きっと、第2次世界大戦を、イギリスはこんな感じで、アメリカはこんな感じで戦ったんだろうなあ、と思わせる。そして日本もこんな感じで戦争して、(だから)負けたのだろう。

 昭和史の泰斗、半藤一利氏と保阪正康氏が10年ほど前に対談したものを新書にまとめたのが『昭和の名将と愚将』。
 名将の条件は6つあげられており、「決断を自分で下すことのできた人」「任務の目的を部下に明確に伝えられる人」「情報を自らの目や耳で掴む人」「過去の成功体験にとらわれない人」「常に焦点の場所に身を置いた人」「部下に最大限の任務の遂行を求められる人」。これをきちんとやった人は非常に少ない。
 愚将の条件は1つだけ。「責任ある立場にあって最も無責任だった将」。「バカな大将、敵より怖い」とはまさにこのことだ。

名将
栗林忠道石原莞爾永田鉄山・米内光政・山口多聞山下奉文武藤章伊藤整一・小沢治三郎・宮崎繁三郎・小野寺信・今村均山本五十六
愚将
服部卓四郎・辻政信牟田口廉也瀬島龍三・石原信吾・岡敬純大西瀧治郎・冨永恭次・菅原通大

 今は有事だ。平時の基準は通用しない。そして部下の命を預かる将には器というものがある。
 この条件をあてはめながら「令和の名将と愚将」について、思いをめぐらせている。

 (こ)