『学習まんが日本の歴史 試験に役立つ!超重要人物101』(集英社)

 「学習まんが日本の歴史」は、小学館・学研・集英社・角川がしのぎを削っており、それぞれに長所があって、なかなか選びづらい。各社の改訂が一巡して、学説も更新され、何よりも絵が劇画調になっていたりするので、さらに悩む。で結局、メルカリで売られていた学研の旧版を買ってみたら、息子氏、見向きもしない。

 自分は「信長の野望」だとか「三国志」で歴史の学びをスタートさせたものだが、息子氏はそういうことをしていないので、まぁせめて有名な人くらいは知っておいてよ、と買ってきたのが本書。「集英社版日本の歴史」の新旧版からダイジェストで101人を抜き出してきて、解説文を加えたものだ。監修は野島博之氏。卑弥呼に始まり、倭の五王筑紫国造磐井、推古天皇厩戸王と続いていく。

 息子氏、ソファに寝転がってパラパラと眺めていたが、すぐに放置。

 父は楽しいので読み進める。旧版の絵と新版の絵が混在しているのだが、新版からの部分の方が感情移入しやすい。構図がいいのだろう。

 さて、岸信介田中角栄ゴルバチョフ手塚治虫山中伸弥で100人。ラストを飾るのは安倍晋三である。野島さんは何か思うところがあって彼を選んだのか、あるいは集英社が忖度でもして1人付け足したのか。「日本を「美しい国」にします!」と力強く叫ぶ彼は、①首相在任期間が歴代最長、②アベノミクスで経済成長をめざす、③安保法制を整備する、という3つの功績を残して、凶弾に倒れた、ということになっている。氏の評価は歴史の審判にゆだねられるものだし、個人的には近衛文麿並みに後世ボロカスに言われるのではないかと思っているのだが、どうなのだろう。

 

(こ)