砥上裕將『線は、僕を描く』(講談社)

新人離れした新人のデビュー作である。砥上裕將『線は、僕を描く』。

不慮の事故で両親を亡くし,「ガラスの内側」の景色しか見えない日々を送っていた「僕」。ある日,偶然にも水墨画の巨匠・篠田湖山と出会い・・・。

水墨画の世界をテーマに描いた力作である。挿絵は一切ない。一切ないのに,その行間から,主人公をはじめとする様々な登場人物の描く水墨画が浮かび上がる。そして,その水墨画を通して,彼らの孤独,苦悩,喜び,そして生き方そのものが浮かび上がってくる。

久々に,おもしろい小説を読んだ気がする。これは,ひょっとして,本屋大賞ノミネートまで行くのかも・・・。

なお,本作のコミカライズ版が現在連載中である。水墨画を描くシーンに躍動感があり,読んでいて楽しい。近く第2巻が発売予定とのことで,今から心待ちにしている。

線は、僕を描く

線は、僕を描く


線は、僕を描く(1) (講談社コミックス)

線は、僕を描く(1) (講談社コミックス)


(ひ)