2020-01-01から1年間の記事一覧

青山美智子『ただいま神様当番』(宝島社)

心も体もフラフラなので、こんなときには青山美智子さんでデトックス。 毎朝7時23分のバスを待つ5人(彼氏探しに疲れたOL、弟にうんざりしている小学生、リア充のふりをする高校生、Fラン大学の英語の非常勤講師、零細企業のワンマン社長)が、交代で、突然…

フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』(河野万里子訳・新潮文庫)

新潮文庫の累計発行部数トップ10は,次のとおりだという(『新潮文庫の100冊 2020』より)。 1 夏目漱石『こころ』2 太宰治『人間失格』3 ヘミングウェイ『老人と海』4 夏目漱石『坊っちゃん』5 カミュ『異邦人』6 武者小路実篤『友情』7 川…

村上春樹『東京奇譚集』(新潮文庫)

この表紙がほしくて、買いました。 東京奇譚集 (新潮文庫) 作者:春樹, 村上 発売日: 2007/11/28 メディア: 文庫 (こ)

筒井康隆『筒井康隆、自作を語る』(日下三蔵編・ハヤカワ文庫)

筒井康隆。昔はよく読んだ。その筒井康隆が半世紀を超える作家生活を自ら語り明かした本である。『筒井康隆、自作を語る』。 僕らの世代からすると,筒井康隆は最初から筒井康隆であった(当たり前だ)。でもそんな筒井康隆にも若い頃があって(これも当たり…

ブリギッテ・シテーガ『世界が認めたニッポンの居眠り』(阪急コミュニケーションズ)

教育学系の研究会でアメリカの高校についての報告書を読んでいたとき、生徒が居眠りしている記述がないことが話題になった。そのときに参加者のひとりである文化人類学の先生から紹介されたのが、これ。著者はケンブリッジの日本研究の先生で、れっきとした…

綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫)

綾辻行人『十角館の殺人』がコミカライズされているという(漫画:清原紘/アフタヌーンKC)。早速,既刊の1,2巻を読んでみたところ,想像以上に面白かった。何より作画がすばらしい。1コマ1コマが極限まで練られた構図。美形ぞろいの登場人物に,今…

村上春樹『一人称単数』(文藝春秋)

「それで、もうよんだのかい?」 カウンターの隣に座った男が、声をかけてきた。 あぁ、と僕は少し気の抜けた調子で答えた。「『ヤクルト・スワローズ詩集』、だろ? あれはよかった。」 だいたい、僕には音楽の話がわからない。ビートルズはまだ知っている…

マックス・ウェーバー『世界宗教の経済倫理-比較宗教社会学の試み 序論・中間考察』(中山元訳,日経BPクラシックス)

野口雅弘『マックス・ウェーバー』に触発されて,読んでみようと思い立ったのがこちら。マックス・ウェーバー『世界宗教の経済倫理-比較宗教社会学の試み 序論・中間考察』。ウェーバーの宗教社会学の中から,「序論」と「中間考察」を抜き出したものである…

田崎健太『スポーツ・アイデンティティ どのスポーツを選ぶかで人生は決まる』(太田出版)

スポーツの競技種目と性格の関係というのはありそうな気がするし、うちのチビにはどんなスポーツが向いているのかなというのは興味があることなので、読んでみた。 著者はスポーツライターというよりはノンフィクションライターで、数多の取材対象の中にはア…

野口雅弘『マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家』(中公新書)

今年はマックス・ウェーバーの没後100年に当たるということで,中公新書と岩波新書から相次いで評伝が出版された。こちらはそのうち中公新書版。野口雅弘『マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家』。 56年の生涯をたどりながら,ウェーバーの思想…

森見登美彦(上田誠原案)『四畳半タイムマシンブルース』(角川書店)

8月12日、灼熱の京都。下鴨幽水荘の四畳半で、エアコンのリモコンが壊れてしまった。そこへ未来からタイムマシンがやってきたので、ヘタレ京大生たちは、壊れる前のリモコンと、ついでに銭湯で消えたヴィダルサスーンを取りに、昨日へと向かう・・・。 上…

五十嵐律人『法廷遊戯』(講談社)

先週紹介した『イチケイのカラス』,公式Twitterによると,何と重版がかかったとのこと。おぉ~。 ---さて。 ロースクールを舞台にしたミステリである。五十嵐律人『法廷遊戯』。 法都大ロースクールに通う,3人の学生。やがて1人は弁護士になり,もう1人…

ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』(筑摩書房)

「ワイルドサイドをほっつき歩け(Still Wandering around the Wild Side)」という本を職場の机の上においていたら、バンドマンの英語の先生が「お、"Walk on the Wild Side"やね?」と声をかけてきてくれた。こちらはそちらの知識はからっきしなので「??…

コミック5選

こんな状況なので,軽く読めるコミックでも。最近読んだ中から5選。 ・施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』第5巻(REXコミックス) 本をテーマに,4人の高校生がとりとめもなく雑談する,ただそれだけの話。 これが,面白い。 ・・・のだが,刊行ペース…

大村はま『教えるということ』(ちくま学芸文庫)

大村はま、という「伝説の国語教師」が東京の中学校にいた。伝説といっても、金八先生とかGTOとかとは違って、とにかく授業の鬼なのだ。伝説の教師なだけに、教え子たちによる「大村はま国語教育の会」というのもある。その事務局長が苅谷夏子さん(苅谷…

松岡圭祐『万能鑑定士Qの事件簿 0(ゼロ)』(角川文庫)

「万能鑑定士Qの事件簿」シリーズというのがあった。万能鑑定士・凜田莉子を主人公とする,人の死なないミステリ。一時はよく読んでいた。綾瀬はるか主演の実写映画? そんなのもあったっけ・・。 シリーズとしては終結していたのかと思っていたけれど,そ…

明『漫画家しながらツアーナースしてます。こどもの病気別“役立ち”セレクション』(集英社)

【すべての子育て中の親御さん、すべての子どもに関わる人たち、必読!】 今週は別の本で書くつもりで準備をしていたのだけれど、今日読んだこの本が一気にジャンプアップしてきたので、勢いで載せる。 本書は・ツアーナースという、小中学生の児童生徒と直…

保阪正康『近現代史からの警告』(講談社現代新書)

今回の直木賞は,馳星周『少年と犬』!おめでとうございます! やりましたね!実は北海道出身ということで,当地は大いに盛り上がっています! ---さて。 ぶらりと立ち寄った書店でぶらりと本を買う。こんなことは,久しぶりである。買ったのは,保阪正康『…

伊藤祐靖『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』(新潮社)

漆黒の闇の中、尖閣諸島に某国の工作員が上陸した。極秘のうちに工作員を「蒸発」させる命令が、特殊部隊に下る。ミッションに成功した彼らに次に与えられた使命は、クーデターが発生した北朝鮮からの拉致被害者の救出であった。 これは、「国のため」に厳し…

伊東玉美編『宇治拾遺物語』(角川ソフィア文庫)

町田康の現代語訳で宇治拾遺物語に興味を持った。というわけで,「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」シリーズから,伊東玉美編『宇治拾遺物語』。 やっぱり,面白い。教訓めいた話もないではないが,多くは単なる笑い話だったり,ちょっと不思議な話だ…

竹宮惠子『少年の名はジルベール』(小学館文庫)

久しぶりに丸善に行ったら、彼と目が合ったので、一緒に店を出ることにした。 ↓ 【電子版限定特典付】 少年の名はジルベール (小学館文庫) 作者:竹宮惠子 発売日: 2019/11/06 メディア: Kindle版 本書は、京都精華大学教授として教育者という立場から後進の…

池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08『日本霊異記・今昔物語・宇治拾遺物語・発心集』(河出書房新社)

またまた古典。池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08『日本霊異記・今昔物語・宇治拾遺物語・発心集』。 今昔物語は故・福永武彦訳だが,日本霊異記と発心集は伊藤比呂美の新訳であり,また宇治拾遺物語は町田康の新訳である。・・・町田康? 大丈夫か・・・…

瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社新書)

2012年6月30日、東京大学である講義が行われた。瀧本哲史氏が、29歳以下の若者を集めて、熱く、クールに、激しく、知的に、檄を飛ばしている。科学革命は世代交代によって起きたという現実を前提に、社会を変えるのにバイブルはなく、カリスマの力も必要ない…

池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07『枕草子・方丈記・徒然草』(河出書房新社)

ありがとうございます~。 --さて。再び古典である。池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07『枕草子・方丈記・徒然草』。 「枕草子」を酒井順子が,「方丈記」を高橋源一郎が,「徒然草」を内田樹が現代語訳を担当。相変わらず,豪華な訳者陣である。 ・枕草…

姫野カオルコ『忍びの滋賀 いつも京都の日陰で』(小学館新書)

大先生~~お仕事ニュース映像拝見。大変なお仕事、がんばってくださいね!! = ラーメン屋に食べに行って、ラーメンが発泡スチロールのお椀で出てきたら、腹が立つ。 居酒屋に飲みに行って、 刺身盛り合わせがヤマザキ春のパン祭の景品の白いお皿で出てき…

馳 星周『少年と犬』(文藝春秋)

今週,直木賞の候補作が以下のとおり発表されました。 ・伊吹有喜『雲を紡ぐ』(文芸春秋)・今村翔吾『じんかん』(講談社)・澤田瞳子『能楽ものがたり 稚児桜』(淡交社)・遠田潤子『銀花の蔵』(新潮社)・馳星周『少年と犬』(文芸春秋) 当ブログで紹…

三浦しをん『星間商事株式会社社史編纂室』(ちくま文庫)

内部告発したらパワハラを受けて資料室に左遷された町職員さんのニュースを見ていると、コメント欄にこの本のことが書いてあったので、気になって購入。 社史編纂室には、課長♂、先輩♂、後輩♀、そして幸代の4人(正確には誰もみたことのない部長♂を入れて5人…

池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03『竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土左日記・更級日記』(河出書房新社)

古典ってすごいな。そう思いながらいろいろ調べているうちに,行き着いたのがこの本。池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03『竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土左日記・更級日記』。 何よりもまず,訳者が豪華。「竹取物語」を森見登美彦が,「伊勢物語…

清水潔『鉄路の果てに』(マガジンハウス)

父が遺した本棚の中に、びっしりと書かれたメモが挟まっていた。 私の軍隊生活 昭和17年5月千葉津田沼鉄道第二聯隊入 昭和17年11月旧朝鮮経由、満州牡丹江入 20年8月、ソ連軍侵攻 紙の隅には小さくこう記されていた。 だまされた そして裏には、日本列島から…

今村翔吾『じんかん』(講談社)

まったく新しい松永久秀の誕生である。今村翔吾『じんかん』。 天正五年。松永久秀が謀反を起こしたとの報が,織田信長に伝えられる。信長は,笑みを浮かべながら,久秀の壮絶な半生を小姓に語り始めた・・・。 戦国の梟雄とされている松永久秀であるが,本…