ヴォルテール『カンディード』(斉藤悦則訳・光文社古典新訳文庫)

哲学書簡』『寛容論』と読んできたので,次はいよいよこちら。ヴォルテールカンディード』。

ウェストファリアの純真な青年・カンディード。恩師の「すべては最善である」との教えを何ら疑うことなく生きてきたが・・・。

戦乱,大地震,盗賊,海賊・・・。主人公のカンディードを次々と不幸が襲う。カンディードの周囲の人々も同様。とにかく,人類の歴史は災難続きだったのだな,と改めて認識する。

他方で本作は,全体が軽いトーンで貫かれている。笑いあり,皮肉あり。哲学というのは,必ずしも硬い文章でなければならないわけではない。

疾走感のある展開で,ラストの名台詞「mais il faut cultiver notre jardin」(今回の翻訳は「自分の畑を耕さなきゃ」)まであっという間だった。

とりあえず僕も,まずは自分の畑を耕すことにしよう。

カンディード (光文社古典新訳文庫)

カンディード (光文社古典新訳文庫)


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