河野裕『昨日星を探した言い訳』(角川書店)

前から少し気になっていた本。最後は表紙デザインに惹かれて購入。河野裕『昨日星を探した言い訳』。

全寮制の中高一貫校・制道院学園。坂口孝文は,中等部2年で転入してきた茅森良子と図書委員を務めることになった。茅森は,「平等な社会」を創ることを目指していた・・。

本書のテーマの一つは,「差別」である。出自による差別。性差による差別。どのように乗り越えるべきなのか。いや,そもそも乗り越えるべきものなのか。登場人物らはそれぞれの見解を持ち,時には意見をぶつけ,時には傷つく。

・・とはいいつつも,本書はそれでいてしっかりとしたエンタメ小説に仕上がっている。硬質でありながらも機知に富んだ会話。幻の脚本「イルカの唄」をめぐる謎。最後の最後まで,どきどきしながら読むことができた。

昨日星を探した言い訳

昨日星を探した言い訳

  • 作者:河野 裕
  • 発売日: 2020/08/24
  • メディア: 単行本

(ひ)