今年の「新潮文庫の100冊」を眺めながら,どの本を読もうか考えていた。メジャー作品で,面白そうで,でもまだ読んだことがない本・・・。ということで,上橋菜穂子『精霊の守り人』。
女用心棒・バルサ。新ヨゴ皇国の皇子・チャグムを偶然助けたことをきっかけに,皇子を守っていくこととなった。この皇子,実は「精霊の卵」を宿していて・・・。
読んでみて思った。これは,面白い。子供はもちろん,大人が読んでも十分楽しめる。読み応えのある冒険ファンタジー小説である。
物語は,次の一文から始まる。
「バルサが鳥影橋を渡っていたとき,皇族の行列が,ちょうど一本上流の,山影橋にさしかかっていたことが,バルサの運命を変えた。」
・・・バルサって誰? 鳥影橋・山影橋ってどこ? 皇族って何? そう思った刹那,「バルサの運命を変えた。」,である。一気に作品の世界に引きずり込まれる。
一昔前までは,ファンタジー小説の主人公といえば,若い男の子か,そうでなければ女の子であった。対してバルサは30歳。化粧もしておらず,髪もバサバサ。それでいてとても魅力的。こういう小説が大人・子供問わず売れる。時代は,変わった。
- 作者:菜穂子, 上橋
- 発売日: 2007/03/28
- メディア: 文庫
(ひ)