「カトリック教会情報ハンドブック2023」(カトリック中央協議会)

思っていた以上にコロナはしんどくて、熱が出ていたときにはスマホ見るのもしんどくて、考え事するのもめんどうだった。熱が下がってもしばらくは頭痛が残って活字どころではなく、ただゴロゴロして過ごした。 発症5日目にしてようやく少し楽になってきて、…

広末涼子『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社)

せんせい、お大事にっ!! --- 広末涼子のエッセイ本である。 ライターさんが本人の話を文章化しているだけのエッセイ本も少なくない中、本作は、広末涼子が本当に原稿を書いている(しかも手書きで)というのがウリである(これすら嘘というのであれば、も…

垣根涼介『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)

「螺旋」プロジェクトが勢揃いしている・・・壮観!! --- 直木賞レースの大本命である。垣根涼介『極楽征夷大将軍』。 『光秀の定理』では明智光秀を描き、『信長の原理』では織田信長を描いた著者。今回、全552頁・上下2段組みの超大作で描くのは、足…

「螺旋」プロジェクト

今週は、「螺旋」プロジェクトに挑戦中。未完。 大先生が紹介された作品もあります。 とにかく一気に全部読み切りたいと思っておりまして、ちょっと待ってくださいね。 (こ)

永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)

時代小説は滅多に読まないのだけれど、話題作だというので読んでみた。永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』。 時は江戸時代。芝居小屋のある木挽町で一つの仇討ちがあった――。 仇討ちを目撃した者らが、その顛末とともに、併せて自らの半生を語っていくという形…

小野田正利編著『イチャモン研究会 学校と保護者のいい関係づくりへ』(ミネルヴァ書房)

早いものですね。もう次の芥川賞直木賞の季節ですか。=== 失敗研究という分野があって、不幸にして大事故が起きるたびに見直されては、また消えていく。成功の秘訣を語る方が華やかだし世間の耳目を集めるから仕方ないのかもしれないけれど。 15年ほど前…

ジッド『ソヴィエト旅行記』(國分俊宏訳・光文社古典新訳文庫)

人生・全肯定のジッドもよいが、やはり怒れるジッドも見てみたい。そこで読んでみたのがこちら。ジッド『ソヴィエト旅行記』。 1936年の6月から8月にかけて、ジッドはスターリン体制下のソヴィエト連邦を訪問する。期待に胸を膨らませていたジッドが見…

徳仁親王『テムズとともに 英国の二年間』(紀伊國屋書店)

本書は徳仁親王の1983年から85年の英国オックスフォード滞在記が1992年にまとめられ、学習院創立150年を記念し、学習院長の提案などによってこのたび復刊の運びとなったものだそうである。 内容がどう、というよりも、今上天皇の生の声を200ページにわたって…

ジッド『地の糧』(今日出海訳・新潮文庫)

「又三郎」「老人と海」「月に吠える」などと続いてきたヨルシカの文学オマージュシリーズだが、昨年8月のリリース曲は「チノカテ」。ジッド『地の糧』のオマージュである。 さすがに『地の糧』を読んだ人は少ないのでは、というかそもそも書店に売っていな…

鹿島和夫(選)・ヨシタケシンスケ(画)『一年一組 せんせいあのね』(理論社)

本屋で手に取って立ち読みして、レジに直行し、バスで読み、家で読み、また読んでいる。 作文を通して子どもたちの中にあるキラリと輝くものを引き出していくという授業にはたくさんの有名な実践があって、そのうちのひとつである「あのね帳」はうちのチビた…

カミュ『ペスト』(中条省平訳・光文社古典新訳文庫)

中条省平『カミュ伝』を読んだ勢いで、これに挑戦。中条省平訳・カミュ『ペスト』。 コロナ禍の下で、世界的に多く読まれ、話題にもなっていた。 オラン市で突如発生した死の病・ペスト。市全体が封鎖され、人は別離を余儀なくされる――。 不条理の中で生きる…

小林文乃『カティンの森のヤニナ 独ソ戦の闇に消えた女性飛行士』(河出書房新社)

お~、マユミちゃんの注射も17年ぶりに復活ですか!! 1940年、1万人を超えるポーランド人将校が姿を消した。3年後、今のロシアとベラルーシの国境付近のスモレンスク郊外で、8つの穴の中からおびただしい数の遺体が発見された。将校のみならず、ポーランド…

奥田英朗『コメンテーター』(文藝春秋)

YOASOBI「アイドル」のMVが累積再生回数1億回を突破!初登場から5週目での1億回突破は、なんとオリコン史上最速という。・・・とんでもないことになってる。 ---いつもは1冊の本を買うのにもじっくり検討するのだけれど、これは店頭で見つけてすぐに購入…

鈴木忠平『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』(文藝春秋)

北海道日本ハムファイターズが新しいホームスタジアム「エスコンフィールド北海道」に移転して、2ヶ月が過ぎようとしている。移転の経緯については、ファイターズ側の言い分もそうだが、札幌市の側の言い分もあって、ネットを見ていてもほんとうのところは…

中条省平『カミュ伝』(インターナショナル新書)

『転落』を読むと、今度はカミュの生涯や思想自体を知りたくなった。ちょうど手頃な評伝が出ていたので、読んでみることに。中条省平『カミュ伝』。 フランスの植民地だったアルジェリアで生まれ、生後間もなく父を亡くし、極貧の幼少期を過ごしたカミュ。青…

サイモン・バロン=コーエン(篠田里佐訳)『ザ・パターン・シーカー 自閉症がいかに人類の発明を促したか』(化学同人)

本書は、ケンブリッジ大学自閉症研究センター所長であるバロン=コーエン博士による、自閉症と人類の進化に関する壮大な物語である。 冒頭で少年アルのエピソードが語られる。アルは言葉を話すのが遅く、話すようになってからも他の子どもとは違う言葉遣いを…

カミュ『転落』(前山悠訳・光文社古典新訳文庫)

『推しの子』の主題歌・YOASOBI「アイドル」が、とんでもないレベルで大ヒットしている・・・!そして原作コミック・赤坂アカ×横槍メンゴ『推しの子』も売れに売れていて、書店の店頭から消えてる・・・!!・・・ついに時代が『推しの子』に追いついたか。 …

西加奈子『くもをさがす』(河出書房新社)

パサパサに疲れていたので映画観ようと、すずめの戸締まりをレイトショーで観たもので、心が引っかき回されてなんかおかしいです。隣のスラムダンクとかの方がよかったのかな。こういうときには何も考えずにトップガン見るくらいがちょうどよかったかな、や…

横溝正史『犬神家の一族』(角川文庫)

NHKBSで「犬神家の一族」をやっていた。ひとまず前編だけを見たが、結構面白かったので、原作も読むことに。横溝正史『犬神家の一族』。 昭和20年代の信州。犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が死去した。「斧(よき)」「琴(こと)」「菊(きく)」に象徴さ…

田中圭太郎『ルポ大学崩壊』(ちくま新書)

新書における名物シリーズ?に崩壊ものがある。教育も学校も教師も保育も産科医療もみんなみんな崩壊してしまって、どれを読んでも目の前が真っ暗になるくらい、しばらく立ち直れなくなる。 さて、今回は大学が崩壊する。国立大学の独法化と私立学校法改正に…

中嶋博行『検察捜査』(講談社文庫)

書店に行ったら中嶋博行さんの新刊が出ていた。っていうか何年ぶりの新刊だ。調べてみたら、そもそもこれまで6冊しか本を出していなかった。今回ので7冊目となるらしい。 ちょっと懐かしくなってデビュー作を改めて読んでみた。『検察捜査』。 1994年…

梅沢富美男『句集 一人十色』(ヨシモトブックス)

大先生の直木賞予想、すばらしすぎます・・・。 今週も手にして読んだのは仕事の関係の本ばかりなので、あまりブログで紹介できるようなものに出会わず、ポップなものになりました。 「プレバト」で夏井いつき先生が俳句を添削し始めて、もう10年になります…

前田雅之『古典と日本人 「古典的公共圏」の栄光と没落』(光文社新書)

2023年本屋大賞は凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』に決定!おめでとうございます! 圧巻でした! そして2位に安壇美緒さんの『ラブカは静かに弓を持つ』が、3位に一穂ミチさんの『光のとこにいてね』が入りました! 当ブログで「『汝、星のごとく』と…

「鎌倉殿の13人」THE MAKING(東京ニュース通信社)

新年度が始まりました。18年ぶりに持つ学年で、まったく新しい担当科目になったこともあり、気合いは入っていますが、なかなか思うように仕事の段取りはできないものです。 というわけで、活字がまったく頭に入っていかない毎日でして、家に帰ってきてビール…

フランシス・フクヤマ『リベラリズムへの不満』(会田弘継訳・新潮社)

「嘘は、とびきりの愛なんだよ?」 当ブログで2回も紹介した赤坂アカ×横槍メンゴ『推しの子』。4月からTVアニメ化されることとなり、その第1回(約90分)が3月から『【推しの子】Mother and Children』というタイトルで映画館で先行上映された。 予…

松岡亮二・髙橋史子・中村高康編著『東大生、教育格差を学ぶ』(光文社新書)

『現場に役立つ教育社会学』という、現場には役に立たない意識高い系の書籍が刊行されたのが、2021年秋のこと。この本をテキストとして、執筆陣によって東京大学で半年間のリレー講義が開講された。その内容を書籍としてまとめたものが、本書である。 前書に…

酒井順子『うまれることば、しぬことば』(集英社)

ジャケ買いという言葉があるが、この本は「目次買い」というべきであろう。目次に惹かれて読んでみた。酒井順子『うまれることば、しぬことば』。 新しく使われるようになった言葉。他方で、使われなくなっていった言葉。本書は、そんな言葉をテーマにしたエ…

深沢七郎『楢山節考』(新潮文庫)

○□メガネの成田某助教だか助教授だかが、年寄りは安楽死うんぬんとおっしゃったのを聞いたとき、ふと緒形拳の映像が頭によぎったので、そういえば原作を読んだことがないな、よし、読むか、というわけで、アマゾンで中古をポチ。届いた本は、ていねいに蠟紙…

宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)

この本、とにかくおもしろい!! 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』。 滋賀県大津市を舞台にした連作短編集である。 全ての話に共通して登場するのは、強烈なキャラの持ち主の少女・成瀬。第1話の「ありがとう西武大津店」と第2話「膳所から来ました」か…

近藤龍春『家康の血筋』(実業之日本社)

麒麟、青天、鎌倉殿、に続いて、家康、これからどうするのかな・・・? ということで、書店に家康コーナーができていて、タイトル見て手に取ったのがこれ。家康の男子は偉大な父親の前でなかなか苦労したというが、その中で、「切腹」で長男・信康を、「捨子…