『推しの子』の主題歌・YOASOBI「アイドル」が、とんでもないレベルで大ヒットしている・・・!
そして原作コミック・赤坂アカ×横槍メンゴ『推しの子』も売れに売れていて、書店の店頭から消えてる・・・!!
・・・ついに時代が『推しの子』に追いついたか。
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手軽に読めるかと思っていたら、結構手ごわかった。カミュ『転落』。
アムステルダムのバー「メキシコ・シティ」で話しかけてきた見知らぬフランス人・クラマンス。自らを「告解者にて裁判官」だと説明するその男は、自分の過去を語り始める――。
最初から最後まで男の「自分語り」という形式を取るこの小説。語り口は軽妙であり、一見すると読みやすいのだが、とにかくその語りの「目的」がすぐには見えてこない上、話自体もしばしば脱線する。そもそもこの男をどう評価してよいのかすら分からないまま、困惑の中で物語は進む。
いつも以上に、巻末解説がありがたい。1951年からのいわゆるカミュ=サルトル論争をベースに、本書が書かれた背景、そしてクラマンスという人物の「構成」について、本書を読み解いていく。
カミュの死に際し、サルトルは追悼文で『転落』を取り上げ、カミュの作品の中で「おそらく最も美しい」と絶賛した(これに続けて「かつ最も理解されていない」とも言っているけれど)。それほどまでの本作。カミュの思想がしっかり反映された逸品であった。
(ひ)