中条省平『カミュ伝』(インターナショナル新書)

『転落』を読むと、今度はカミュの生涯や思想自体を知りたくなった。ちょうど手頃な評伝が出ていたので、読んでみることに。中条省平カミュ伝』。

フランスの植民地だったアルジェリアで生まれ、生後間もなく父を亡くし、極貧の幼少期を過ごしたカミュ。青年期には不治の病とされた結核にも罹患した。「不条理」という概念、そして死の意識は、このころから培われていた。

カミュがフランスに移ってわずか数か月、今度はナチス・ドイツがパリを蹂躙し、カミュファシズムへの抵抗運動に身を委ねる。

さて、カミュといえば、前回も少し取り上げた、カミュサルトル論争である。社会主義革命に幻想を抱いていたサルトルと、革命の名の下に行われる弾圧と殺戮とを非難したカミュ。当時はカミュが論争に「敗北」したかのようにも受け止められたが、その後の歴史を知る僕たちからみると、むしろカミュの方が本質を正しく突いていたのではなかったか。

ところでカミュは、よくモテた。なんなんだ、この男は。

中条省平カミュ伝』(インターナショナル新書)


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